「自分にもできるだろうか」という疑問に、正直に向き合うことは、内製を始める前の、重要な準備の一つです。過度な自信を持って始めてしまうと、途中で挫折することがあり、逆に、過度に不安を感じて始められないと、実現できたはずの可能性を、見逃してしまうことがあります。この記事では、「自分にできるか」を正直に見積もる、スキルギャップの確認方法を解説します。
この記事で分かること
スキルギャップとは、自分が今持っているスキルと、実現したいことに必要なスキルの間にある、差のことです。この記事では、このギャップを、客観的に把握する方法を紹介します。
結論を先に示すと、押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 必要なスキルを、具体的な作業単位に分解する
- それぞれの作業について、今の自分ができるかを、正直に評価する
- ギャップがある部分について、埋める方法(学習、外注など)を検討する
なぜ「なんとなくの自己評価」では失敗するのか
内製を始める前に多くの人がやってしまうのが、「システムを作るスキルが自分にあるかどうか」を、ぼんやりとした感覚だけで判断することです。この判断のしかたには、大きな問題があります。それは、「システムを作るスキル」という括りが大きすぎて、実際には何を基準に判断しているのかが、本人にも分からなくなっているという点です。
例えば、「プログラミングの本を1冊読んだことがある」という経験だけで、「なんとなくできそうな気がする」と判断してしまう人がいます。一方で、「プログラミングは難しいと聞いたことがある」というだけの理由で、「自分には無理だろう」と、可能性を早々に閉じてしまう人もいます。どちらも、実際の作業内容を具体的に検討したうえでの判断ではなく、印象や伝聞に基づいた判断です。
このような、根拠の薄い自己評価に基づいて内製を始めると、次のような失敗パターンに陥りやすくなります。
- 過信による失敗: 「たぶんできる」と思って着手したものの、想定していなかった作業(データベースの設計、外部サービスとの連携、エラー処理など)でつまずき、時間だけを消費して完成しないまま終わる。
- 過度な不安による失敗: 実際には調べれば対応できる範囲の作業を、「自分には難しすぎる」と決めつけてしまい、着手すらせず、実現できたはずのアイデアを諦めてしまう。
- 評価の粒度が粗いことによる失敗: 「フロントエンドは得意だが、バックエンドは苦手」というような大まかな評価だけで進め、実際に手を動かす段階になって、想定より細かい判断が必要な場面が次々に出てきて混乱する。
これらの失敗を避けるために、スキルギャップの評価は、できるだけ具体的な作業単位に分解して行う必要があります。
ステップ1:必要なスキルを、具体的な作業単位に分解する
「システムを作るスキル」というように、大きな単位で考えると、自分にそのスキルがあるかどうかを、判断しづらくなります。まずは、実現したいことに必要な作業を、できるだけ具体的な単位に分解することをおすすめします。
例えば、「顧客管理ツールを作る」という目標を、「データベースのテーブルを設計する」「入力フォームを作る」「一覧表示画面を作る」「検索機能を作る」というように、具体的な作業単位に分解します。この分解によって、それぞれの作業について、個別に自分のスキルを評価できるようになります。
分解の粒度は、「これができるかできないか、自分ではっきり判断できるレベル」まで細かくすることが目安です。例えば、「検索機能を作る」という単位でもまだ大きい場合は、さらに「入力されたキーワードで、一覧のデータを絞り込む」「複数の条件(日付・カテゴリなど)を組み合わせて絞り込む」「検索結果を、件数の多い順・新しい順など並び替える」というように分解します。
分解の作業自体に時間をかけすぎる必要はありませんが、思いつく範囲で構いませんので、次のような分解の型を持っておくと、作業がしやすくなります。
- 画面ごとに分解する: ログイン画面、一覧画面、詳細画面、入力画面など、ユーザーが操作する画面の単位で分ける
- データの流れで分解する: 入力する、保存する、取り出す、表示する、加工する、通知するといった、データの動きの単位で分ける
- 機能のジャンルで分解する: 認証・検索・決済・通知・集計など、機能の種類の単位で分ける
どの分解の型を使っても構いませんが、最終的には「今の自分ができるか」を、作業単位ごとに、一つひとつ判断できる粒度まで、落とし込むことが目的です。
ステップ2:それぞれの作業について、今の自分ができるかを、正直に評価する
分解した作業単位ごとに、「今の自分は、これができるか」を、正直に評価します。この評価では、「頑張ればできるかもしれない」という希望的な観測ではなく、「今の時点で、実際にできるか、できないか」を、できるだけ客観的に判断することをおすすめします。
なお、この自己評価そのものの限界について、非エンジニアがどこまで自力で開発を進められるかという観点から、非エンジニアの開発力の現実的な限界を扱った記事もあわせて読んでおくと、評価の解像度が上がる。
評価の基準として、次のような区分を使うと、判断しやすくなります。
- すでにできる(過去に似た作業をした経験がある)
- 調べればできそう(似たような機能のチュートリアルや説明を見たことがある)
- 全く見当がつかない(何から始めればいいか分からない)
「全く見当がつかない」に区分される作業が多い場合、その部分については、学習に時間がかかる、あるいは、外注を検討すべき領域である可能性が高くなります。
評価を歪めやすい思考のクセ
正直な評価をするうえで、注意しておきたい思考のクセがいくつかあります。自分の評価が、次のような理由で歪んでいないかを、一度チェックしてみてください。
- 「見たことがある」を「できる」と混同する: 解説記事や動画で操作を見たことがあるだけで、実際に自分の手で同じ結果を再現できるとは限りません。見たことがあるのと、できることの間には、大きな差があります。
- 一部の成功体験を、全体に広げてしまう: 一つの作業がうまくできたことで、「自分は全体的にできる」と過大評価してしまうことがあります。逆に、一つの作業でつまずいたことで、「自分には全部無理だ」と過小評価してしまうこともあります。
- 難易度の印象と、実際の難易度がずれている: 世間で「難しい」とよく言われる作業が、自分の得意分野と重なっていて、実際にはそれほど苦労しない場合もあります。逆に、「簡単そう」に見える作業が、細部の仕様の詰めで意外と時間を取られる場合もあります。
評価チェックリスト
作業単位ごとの評価をするとき、次のチェックリストを使うと、判断の根拠が明確になります。
- [ ] この作業を、過去に一度でも、自分の手で最後まで完成させた経験があるか
- [ ] 似たような機能を実現している、具体的な手順の説明(チュートリアルや解説記事)を、実際に見たことがあるか
- [ ] この作業に必要な用語(例:API、データベース、認証など)の意味を、他の人に説明できるか
- [ ] 「調べればできそう」と判断した場合、調べる先(公式ドキュメント、コミュニティなど)に具体的な見当があるか
- [ ] この作業でよくある失敗やエラーについて、事前に一つでも思い当たるものがあるか
このチェックリストの項目に、多く「はい」と答えられる作業ほど、「すでにできる」または「調べればできそう」に区分してよい可能性が高くなります。逆に、ほとんど「いいえ」である場合は、「全く見当がつかない」に区分し、学習や外注の対象として、はっきりと認識しておくことが大切です。
ステップ3:ギャップがある部分について、埋める方法を検討する
スキルギャップが大きい部分について、そのギャップを、どう埋めるかを検討します。埋める方法には、大きく次の3つがあります。
方法1:時間をかけて学習する
ギャップが大きくても、学習にかけられる時間が十分にある場合、学習によってギャップを埋めるという選択肢があります。ただし、学習にかかる時間を、現実的に見積もっておく必要があります。自分で作る場合の学習コストを、外注費と比較する視点については、別記事で詳しく解説しています。
学習によってギャップを埋める場合、次のような点も、あわせて検討しておくと、計画が立てやすくなります。
- 学習の期限を決める: 「いつまでに、この作業ができるようになりたいか」を先に決めておくと、学習のペースを調整しやすくなります。期限を決めずに学習を始めると、いつまでも「まだ準備段階」のまま、本題に進めないことがあります。
- 学習の進捗を、実際の作業で確認する: 本や講座を読み終えただけで「学習が終わった」と判断せず、実際に小さな作業を自分の手で完成させてみることで、本当に身についたかどうかを確認します。
- 学習してもギャップが埋まらない場合を、想定しておく: 学習を進めても、その分野への向き・不向きがはっきりして、思うように習得が進まないこともあります。その場合に、外注へ切り替える判断ができるよう、あらかじめ心の準備をしておくと、学習に時間をかけすぎて計画全体が遅れる事態を避けられます。
方法2:ノーコードツールの、既存の機能やテンプレートを活用する
自分で複雑な仕組みを作る代わりに、ノーコードツールが提供する、既存の機能やテンプレートを活用することで、スキルギャップを、実質的に埋められる場合があります。ゼロから学ぶのではなく、既存の仕組みを、うまく組み合わせるという発想です。
この方法が向いているのは、実現したい機能が、既存のテンプレートや標準機能で、ある程度カバーできる場合です。逆に、業務特有の細かい条件分岐や、専門的な計算ロジックが必要な場合は、既存の機能だけでは対応しきれず、結局カスタマイズのための学習や外注が必要になることもあります。ノーコードツールを検討する際も、「自分がやりたいことの、どこまでを標準機能でカバーできるか」を、事前に確認しておくことが大切です。
方法3:その部分だけを、外注する
学習に時間をかけることが難しい、あるいは、その部分の重要性・専門性が高い場合、その部分だけを外注するという選択肢もあります。全部自分で作るか、全部任せるか、その間の選び方については、別記事で詳しく解説しています。
一部分だけを外注する場合、「どの作業単位を外注するか」を、ステップ1で分解した作業リストを使って、開発会社に具体的に伝えられると、見積もりや作業の依頼がスムーズになります。「全体的に難しそうな部分をお願いしたい」という伝え方よりも、「データベースの設計と、決済機能の実装だけをお願いしたい」というように、作業単位で伝える方が、双方の認識のズレを防げます。契約や法務も含めた開発期の実務全体は、内製か外注か、そして契約と法務。開発期をやり切るための実務ガイドでも整理している。
スキルギャップの評価を、正直に行うための工夫
自分自身の評価は、無意識のうちに、楽観的になったり、悲観的になったりすることがあります。正直な評価をするために、実際にその作業を、少しだけ試してみることをおすすめします。頭の中で想像するよりも、実際に手を動かしてみることで、より正確な評価ができます。
例えば、「検索機能が作れるかどうか分からない」と感じている場合、いきなり本格的な検索機能を実装しようとするのではなく、まずは「決められた1つのキーワードで、あらかじめ用意したリストを絞り込む」という、ごく小さな範囲だけを試してみます。この小さな試行がうまくいけば、「調べればできそう」という評価に、根拠を持たせることができます。逆に、この小さな範囲でつまずくようであれば、「全く見当がつかない」という評価が、実態に近いと判断できます。
また、可能であれば、その分野に詳しい知人に、自分の評価が現実的かどうかを、確認してもらうことも、有効な方法です。自分では気づかない、過度な楽観や悲観を、第三者の視点で指摘してもらえることがあります。第三者に確認してもらう際は、「これができると思うが、どう思うか」という聞き方よりも、「この作業を、どのくらいの時間で、自分ならできると思うか」という、具体的な作業内容を示した聞き方をすると、より的確なフィードバックを得やすくなります。
スキルギャップの評価を、繰り返し行う
一度評価したスキルギャップは、固定されたものではありません。学習を進めるにつれて、「調べればできそう」だった作業が、「すでにできる」に変わっていくこともあります。定期的に、この評価を見直すことで、自分の成長を実感しながら、残っているギャップに、集中して取り組めます。
評価を見直すタイミングとしては、例えば次のようなものが目安になります。
- 学習を始めてから、一定期間(2週間、1ヶ月など)が経過したとき
- 一つの作業単位を、実際に完成させたとき
- 新しく別の機能を追加しようと考えたとき(そのたびに、必要な作業単位を分解し直す)
このように、評価を一度きりのものとせず、継続的に更新していく前提を持つことで、「最初の評価が間違っていたかもしれない」という不安に、過度にとらわれずに、内製を進めやすくなります。
専門知識を活かしたツールの場合、スキルギャップの評価で注意したい点
専門分野の業務知識を活かしたツールの場合、技術的なスキルギャップだけでなく、「その業務ロジックを、システムの仕組みに、正確に落とし込めるか」という、要件整理のスキルも、評価の対象に含めることをおすすめします。専門知識ツールの一部機能について、内製と外注どちらが向いているかについては、別記事で詳しく解説しています。
このタイプのツールでは、「技術的には簡単に作れる機能なのに、業務ロジックの条件分岐が複雑で、要件を整理しきれない」というギャップが発生しやすい点に、注意が必要です。技術面のスキルギャップだけを評価して、「これくらいなら作れそうだ」と判断してしまうと、実際に手を動かす段階で、業務知識をシステムの言葉に翻訳する作業に、想定以上の時間がかかることがあります。
スキルギャップ評価のよくある失敗パターン、5つの具体例
ここまでの内容を踏まえて、実際にありがちな失敗パターンを、具体的な場面ごとに見ていきます。自分の状況に近いものがあれば、参考にしてみてください。
パターン1:「本を1冊読んだから大丈夫」パターン
プログラミングやツール操作の入門書を1冊読み終えたことで、「基礎は理解した」と判断し、いきなり本格的な機能の実装に着手してしまうパターンです。入門書は、多くの場合、単純化された例を使って説明されているため、実際の作業で発生する、複雑な条件分岐や、エラーへの対処までは、カバーしていないことがあります。本を読み終えた直後は、「基礎知識を得た」段階であって、「実践できる」段階ではないことを、意識しておく必要があります。
対処法としては、本で学んだ内容を使って、実際に小さな成果物(ごく簡単な一覧表示だけの画面など)を、自分の手で完成させてみることです。この小さな成功体験を経てから、次の作業単位の評価に進むと、評価の精度が上がります。
パターン2:「動画で見たから、手順は分かっている」パターン
解説動画やライブコーディングの様子を視聴して、「手順は理解した」と感じるパターンです。しかし、動画を見ているときは、講師がすでに用意した環境で、スムーズに進む様子を見ているだけであり、自分の環境で同じ手順を実行したときに発生する、細かいエラーや、環境差異への対処は、体験していません。「見て分かった」ことと、「自分の手で再現できる」ことの間には、しばしば大きな差があります。
対処法としては、動画を見ながら、実際に自分の環境でも同時に手を動かしてみることです。動画の再生を止めて、自分の画面で同じ結果が出るかを確認する作業を挟むだけで、評価の精度は大きく変わります。
パターン3:「一つできたから、他も大体できるだろう」パターン
ある機能(例えば、入力フォーム)の実装がうまくいったことで、「この調子なら、検索機能も決済機能も、同じように作れるはずだ」と、範囲を広げて楽観視してしまうパターンです。しかし、機能ごとに必要な知識や技術要素は異なるため、一つの成功が、他の機能の成功を保証するわけではありません。
対処法としては、作業単位ごとに、個別に評価をし直すことです。「入力フォームが作れた」という経験は、「入力フォームに関連する作業」の評価には活かせますが、「検索機能」や「決済機能」といった、別のジャンルの作業については、改めてゼロから評価する必要があります。
パターン4:「難しいと聞いていたから、最初から諦める」パターン
周囲から「その機能は難しい」と聞いたことだけを根拠に、実際に検討する前から、「自分には無理だ」と判断し、外注や学習の検討すら行わないパターンです。しかし、「難しい」という評価は、聞いた相手の経験や前提によって、大きく変わります。自分にとっては、実は既知の知識で対応できる場合もあります。
対処法としては、「難しい」と聞いた機能についても、一度は具体的な作業単位に分解し、チェックリストを使って、自分なりに評価してみることです。人から聞いた印象だけで判断を終えず、自分の経験と照らし合わせる工程を、必ず一度入れることをおすすめします。
パターン5:「評価を後回しにして、いきなり作り始める」パターン
スキルギャップの評価そのものを省略し、「とにかく手を動かしてみればわかる」という考えで、いきなり本格的な開発に着手してしまうパターンです。行動力自体は悪いことではありませんが、評価を省略すると、途中で「この部分は自分には無理だった」と気づいたときに、それまでにかけた時間や、他の作業との整合性が、大きな手戻りとして発生することがあります。
対処法としては、本格的な着手の前に、半日程度の時間を確保して、ステップ1〜3の評価だけは、簡易的にでも行っておくことです。評価にかける時間は、その後の作業全体の手戻りを減らすための、先行投資と捉えると、時間をかける意味が理解しやすくなります。
スキルギャップ評価シートの作り方
これまでに説明した内容を、実際に使える形にするために、簡単な評価シートを作っておくと、判断がしやすくなります。表形式で、次のような列を用意するのがおすすめです。
- 作業単位: ステップ1で分解した、具体的な作業の名称
- 評価: 「すでにできる」「調べればできそう」「全く見当がつかない」のいずれか
- 判断の根拠: なぜその評価にしたのか(過去の経験、チュートリアルの有無など)を、一言でメモする
- 対応方針: 学習する、ノーコードツールで代替する、外注する、のいずれか
- 見直し予定日: 次にこの評価を見直す、おおよその日付
この評価シートは、表計算ソフトやメモアプリで、簡単に作成できます。重要なのは、フォーマットの精緻さではなく、「作業単位ごとに、根拠のある評価を、繰り返し見直す」という運用を続けることです。一度作って終わりにせず、学習や試行を進めるたびに、更新していく前提で使ってください。
スキルギャップ評価と、時間・本業との両立の関係
複業として内製に取り組む場合、スキルギャップの評価は、「できるか、できないか」だけでなく、「今の生活の中で、どのくらいの時間をかけて埋められるか」という視点も、あわせて考える必要があります。技術的には「調べればできそう」と評価した作業であっても、本業や家庭の時間を圧迫しない範囲で、実際に学習や試行を進められるかどうかは、別の問題です。
例えば、平日は本業で時間が取れず、学習にあてられるのが週末の数時間だけという場合、「調べればできそう」な作業が10個あっても、すべてを同時並行で進めることは現実的ではありません。この場合、評価シートの「対応方針」の列に加えて、「優先順位」も設定しておくと、限られた時間をどこから使うかを判断しやすくなります。
優先順位をつける際の目安としては、次のような考え方があります。
- サービスの核となる機能を優先する: そのサービスの価値を決定づける、中心的な機能に関わる作業単位を、先に評価・着手する
- 後から変更しにくい部分を優先する: データベースの設計など、後から作り直すコストが大きい部分は、早い段階で確度の高い評価をしておく
- 小さく試せる部分から着手する: 評価に自信が持てない作業単位のうち、短時間で検証できるものから手を動かし、早めに「できる・できない」の判断材料を増やす
このように、スキルギャップの評価は、単に「技術的にできるか」を判断するだけの作業ではなく、「限られた時間の中で、どこにその時間を投じるべきか」を決めるための、優先順位づけの土台としても機能します。
スキルギャップの評価を、記録として残す意味
評価をシートやメモとして記録に残しておくことには、もう一つの効果があります。それは、内製を進めていく過程で、「なぜこの部分を学習することにしたのか」「なぜこの部分を外注することにしたのか」という、過去の判断の根拠を、後から振り返れるようにしておくことです。
内製を進めていると、途中で「本当にこの方針でよかったのか」と、判断に迷う場面が出てくることがあります。そのときに、最初の評価シートを振り返ることで、「その時点では、確かにこの判断が合理的だった」と確認できたり、逆に「状況が変わったので、見直すべきタイミングだ」と気づけたりします。記録がないと、こうした振り返りが感覚的になり、判断のブレが大きくなりやすくなります。
また、開発会社に一部の作業を外注する場合にも、この評価シートは役立ちます。「なぜこの部分を外注したいのか」「自分ではどこまで理解していて、どこから分からないのか」を、シートの内容をもとに具体的に説明できると、開発会社側も、依頼内容の背景を理解しやすくなり、要件のすり合わせがスムーズに進みやすくなります。
まとめ:正直な評価が、内製を続けられるかどうかを決める
「自分にできるか」という問いに対する評価は、一度きりの通過儀礼ではなく、内製を進める間、繰り返し向き合い続けるものです。最初の評価が完璧でなくても構いません。大切なのは、具体的な作業単位まで分解し、根拠のある評価をし、ギャップが見つかった部分について、学習・ノーコード活用・外注のいずれかで、埋める方法を検討するという、一連のプロセスを、習慣として持っておくことです。
過信によって途中で挫折することも、過度な不安によって着手できずに諦めることも、どちらも、実現できたはずの可能性を狭めてしまいます。正直な評価は、その両方の失敗を避けるための、最初の一歩です。評価シートを一枚作るところから、始めてみてください。
この記事の次に読みたい記事
スキルギャップの確認方法を理解したら、次は内製と外注、どちらの間の選び方についても、あわせて確認しておきましょう。




