複数の開発会社から見積もりを取る「相見積もり」は、費用感を把握するために有効な方法ですが、伝える内容が会社ごとに異なると、見積もりを正しく比較できなくなります。この記事では、相見積もりを取る際、条件をそろえるための伝え方を解説します。
この記事で分かること
相見積もりを取る目的は、単に安い会社を見つけることではなく、同じ条件のもとで、各社の提案内容や費用感を公平に比較することです。この記事では、そのために必要な伝え方の工夫を紹介します。
結論を先に示すと、押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 同じ要望を、同じ文章で全社に伝える
- 必須の機能と、あればよい機能を分けて伝える
- 予算感の伝え方も、全社で統一する
相見積もりで一番よくある失敗は、「金額が安い会社を選んだ」のではなく、「そもそも同じものを比較していなかった」というものです。A社は必須機能だけの見積もり、B社は要望を全部盛り込んだ見積もり、C社は保守費込みの見積もり——これでは、どれだけ丁寧に比較表を作っても、意味のある比較にはなりません。相見積もりの精度は、見積もりを取った後の比較の仕方ではなく、見積もりを依頼する前に、どれだけ条件をそろえて伝えられたかで、8割方決まります。なお、金額を比較する際に見落とされがちな「内訳」の重要性については、見積書の内訳の読み方でも詳しく解説されている。
ポイント1:同じ要望を、同じ文章で全社に伝える
相見積もりを取る際、最も重要なのは、各社に伝える要望の内容を統一することです。口頭で説明する場合、話す順番や重点の置き方によって、伝わる内容が微妙に変わってしまうことがあります。
事前に要望をまとめたメモや資料を作成し、それを全社に同じ形で共有することをおすすめします。開発会社に相談する前に作っておきたい、アイデアメモの型については、別記事で詳しく解説しています。
「同じ文章」が必要な理由
たとえば、1社目との打ち合わせで「予約管理の機能が欲しい」と伝え、担当者から「顧客ごとの履行状況も管理したいですか」と質問されて、その場で「そうですね、それもできると助かります」と答えたとします。この会話の流れは、2社目・3社目には引き継がれません。2社目に同じ質問が来なければ、その会社は「顧客ごとの履行状況管理」を要件として認識せずに見積もりを作ることになります。
結果として、1社目の見積もりだけが機能過多に見え、比較表の上では「1社目は割高」という誤った印象が生まれます。実際には、1社目が正確に要望を反映し、他社が要望を漏らしていただけ、というケースは少なくありません。
この問題を防ぐには、口頭でのやり取りの中で決まった追加要望も、必ずメモに反映し、次の会社との打ち合わせ前に更新しておくことが重要です。つまり、「同じ文章で伝える」は一度作ったら終わりではなく、相見積もりの期間中、各社とのやり取りを通じて更新し続ける、一種の運用作業だと捉えておくとよいでしょう。
要望メモに入れておきたい項目
要望メモには、少なくとも次の項目を含めておくと、各社の解釈のズレを減らせます。
- サービスの目的:誰の、どんな困りごとを解決するツールなのか(1行で)
- 利用者像:使う人は自分だけか、従業員も使うか、顧客も使うか
- 必須機能の一覧:機能名と、それが必要な理由を1文で
- あればよい機能の一覧:同様に機能名と理由
- 想定利用規模:想定ユーザー数、想定データ量、想定アクセス頻度
- 希望スケジュール:いつまでに使い始めたいか、その理由
- 予算感の伝え方の方針:金額を出すか、幅で伝えるか(ポイント3で後述)
- 保守・運用の希望:公開後の修正や機能追加を想定しているか
この項目をA4一枚程度にまとめ、全社に同じPDFやドキュメントを送ることで、「どの会社にどこまで話したか」を自分で把握しやすくなるという副次的な効果もあります。
ポイント2:必須の機能と、あればよい機能を分けて伝える
「これがないと成立しない」という必須の機能と、「あれば嬉しいが、なくても構わない」という機能を、明確に分けて伝えることをおすすめします。この区別を伝えないと、ある会社は必須機能のみの提案をし、別の会社はすべての機能を含めた提案をする、というように、提案の前提がそろわなくなります。
機能に優先順位をつける考え方については、予算300万円で何を作るかを扱った別記事でも詳しく解説しています。
優先順位を伝えないと起こる典型的なズレ
優先順位を伝えずに要望リストだけを渡すと、開発会社側は「全部必須」と解釈することが多くなります。これは、開発会社が過剰な提案をしたいからではなく、依頼側から優先順位の情報が示されない場合、安全側に倒して「漏れなく含めた見積もり」を出す方が、後からのクレームを避けられるためです。
その結果、次のようなズレが起きやすくなります。
- 依頼側は「本当に必要なのは3つの機能だけ」と思っていたが、3社とも10機能分の見積もりを出してくる
- 見積もり額が想定より大きく膨らみ、「相見積もりを取ったのに、どこも高い」という印象を持つ
- 本当は削れる機能がどこなのか、見積もりを受け取った後で初めて相談することになり、再見積もりの手間が発生する
これを避けるには、要望リストの各項目に、次のような3段階のラベルを付けておくと効果的です。
- 必須(Must):これがなければサービスとして成立しない機能
- 推奨(Should):初回リリースには入れたいが、後から追加でもよい機能
- 希望(Could):将来的に検討したいが、初回には不要な機能
このラベル付けを全社に同じ形で伝えることで、「必須機能だけの見積もり」と「必須+推奨機能の見積もり」の2パターンを、各社から同時に受け取ることもできます。この方法は、初回リリースの予算感と、将来の拡張予算感を、同時に把握できる点でも有効です。
ポイント3:予算感の伝え方も、全社で統一する
予算感を伝える場合、その伝え方(金額を明示するか、幅を持たせるかなど)も、全社で統一することをおすすめします。ある会社には具体的な金額を伝え、別の会社には伝えない、というように対応を変えると、提案内容の前提がそろわなくなり、公平な比較が難しくなります。
予算を伝えるべきかどうかの駆け引きについては、別記事で詳しく解説しています。
予算の伝え方、3つの選択肢
予算感の伝え方には、大きく3つの選択肢があります。相見積もりを取る際は、このうちどれを使うかを先に決め、全社に同じ方針で伝えることが重要です。
- 具体的な金額を伝える:「300万円以内で」のように明示する方法。開発会社は、その金額に収まる範囲で機能を調整した提案をしやすくなる一方、予算ぎりぎりの提案が並びやすく、比較の幅が狭くなることがある
- 幅を持たせて伝える:「250万〜400万円程度を想定」のように伝える方法。開発会社ごとの提案の違いが出やすく、比較の材料が増える
- 予算を伝えず、要望に対する見積もりを依頼する:開発会社の「本来の実力」に近い見積もりが出やすい一方、想定より大きく外れた金額が出てくるリスクもある
どの方法にも一長一短がありますが、相見積もりの目的が「公平な比較」である以上、重要なのは方法そのものよりも、全社に同じ方法で伝えることです。
相見積もりを取る際、避けたい伝え方
避けたい伝え方1:他社の見積もり額を伝えて交渉する
「他社はこの金額でした」と伝えて、価格交渉の材料にする方法は、短期的には効果があるように見えますが、開発会社側の信頼を損ねる可能性があります。値下げを引き出すことに集中しすぎると、提案の質や、開発会社との関係性に悪影響が出ることもあります。
また、この伝え方には別の問題もあります。他社の金額を提示すると、開発会社側は「その金額に合わせて機能を削る、または品質を下げる」形で対応することがあり、当初の提案内容そのものが変質してしまいます。これでは、最初に比較していたはずの「提案の質」という軸が失われ、単なる価格の叩き合いになってしまいます。
価格交渉自体が悪いわけではありませんが、交渉のタイミングは、比較・検討がひと通り終わり、発注先をある程度絞り込んだ後にする方が、双方にとって健全な進め方になります。
避けたい伝え方2:曖昧な要望のまま、複数社に相談する
要望が固まっていない段階で、複数社に同時に相談すると、各社からの質問に個別に答える中で、伝える内容がずれていくことがあります。可能であれば、要望をある程度固めた状態で、相見積もりを始めることをおすすめします。
要望が曖昧なまま相談を始めると、開発会社側の質問の仕方や、ヒアリングの深さによって、依頼側の考え自体が会社ごとに違う方向に固まっていってしまうこともあります。たとえば、1社目のヒアリングで「まず予約機能から」という話になり、2社目のヒアリングで「決済機能も同時に」という話になると、依頼側の中で要望の輪郭が会社ごとに変わってしまい、結果として3社の見積もりの前提がすべて異なる、という状態に陥りやすくなります。
避けたい伝え方3:締め切りや検討状況を伝えない
いつまでに検討結果を出したいか、他に何社に相談しているかといった情報を一切伝えないことも、遠回りに比較の質を下げる要因になります。開発会社側は、案件の温度感が分からないまま提案を作ることになり、力の入れ方や提案の粒度が案件ごと・依頼者ごとに変わってしまうことがあります。「〇月中に発注先を決めたい」「他に2社に相談している」程度の情報は、各社に同じ内容で伝えておくと、提案の前提をそろえやすくなります。
相見積もりの社数は、何社が適切か
相見積もりを取る社数について、明確な正解はありませんが、一般的には2〜3社程度が、比較の手間と精度のバランスが取りやすいとされています。あまりに多くの会社に相談すると、それぞれとのやり取りに時間がかかり、比較の作業自体が負担になることがあります。
社数を増やすことのメリットとデメリット
社数を増やすほど、比較対象が増え、より広い視野で費用感や提案内容を把握できるように思えますが、実際には次のようなデメリットも発生します。
- やり取りの負荷が増える:ヒアリングへの対応、質問への回答、資料の共有などを、社数分繰り返す必要がある
- 要望メモの更新が追いつきにくくなる:ポイント1で触れたように、各社とのやり取りで要望が更新されるたびに、他社にも同じ内容を伝え直す必要が生じ、社数が増えるほど手間が増える
- 比較そのものが目的化してしまう:多数の見積もりを並べて比較すること自体に時間を使い、意思決定が先延ばしになりやすい
一方で、1社だけに相談すると、その会社の提案が市場感に対して妥当かどうかを判断する基準がなく、相場から大きく外れた金額を提示されても気づきにくいという弱点があります。この意味で、2〜3社という数は、「比較の基準を持つこと」と「やり取りの負荷を抑えること」の折り合いをつけた、実務的な落としどころといえます。
社数を選ぶときの目安
- 予算感を知りたいだけの初期段階:1〜2社への概算相談で十分な場合が多い
- 本格的に発注先を決める段階:2〜3社への正式な相見積もりが目安
- 専門性が高く、会社ごとの実力差が大きいと想定される場合:3〜4社まで広げて比較する価値がある
見積もりを受け取った後の比較方法
各社から見積もりを受け取ったら、総額だけでなく、内訳(工数・単価・バッファ)や、提案内容の充実度も含めて比較することをおすすめします。見積書の内訳の読み方については、別記事で詳しく解説しています。
同じ条件を伝えたにもかかわらず、見積もりの金額や提案内容に大きな差がある場合、その理由を各社に確認してみることで、開発会社ごとの強み・弱みや、進め方の違いが見えてくることがあります。
比較チェックリスト
見積もりを並べて比較する際は、次の観点を一通り確認しておくと、金額だけを見て判断してしまうリスクを減らせます。
- [ ] 各社の見積もりに含まれる機能の範囲は、要望メモの必須機能と一致しているか
- [ ] 見積もりの前提となる利用規模(ユーザー数・データ量)の記載があるか
- [ ] 開発期間・スケジュールの想定が明記されているか
- [ ] 保守・運用費、サーバー費用などの継続コストが、見積もりに含まれているか、別途なのかが明確か
- [ ] 追加開発が発生した場合の単価や、対応方針が示されているか
- [ ] 契約形態(請負契約か準委任契約か)が明記されているか
- [ ] 支払いタイミング(着手金・中間金・完了時など)が明記されているか
- [ ] 提案書に、自社の要望に対する理解が具体的に反映されているか(テンプレート的な提案になっていないか)
このチェックリストを、各社の見積もりを受け取るたびに同じ形式で記録しておくと、社数が増えても比較の軸がぶれにくくなります。
金額差が大きいときに確認したいこと
同じ条件を伝えたのに、見積もり額に2倍以上の差が出ることは珍しくありません。この場合、単純に「高い方が悪い」「安い方が良い」と判断する前に、次のような点を各社に確認してみると、差の理由が見えてきます。
- 見積もりに含まれている作業範囲(要件定義・設計・テスト・保守のどこまでを含むか)に差はないか
- 使用する技術やインフラの構成に、コストに影響する違いはないか
- 見積もりの単価(1人日あたりの費用)に、会社の規模や実績による違いはないか
- 想定している開発体制(人数・役割)に差はないか
こうした確認を経ることで、「なぜこの金額になったのか」という納得感を持って発注先を選べるようになります。逆に、金額差の理由をうまく説明できない会社は、見積もりの根拠自体が曖昧である可能性もあり、判断材料の一つになります。
専門知識を活かしたツールの場合、相見積もりの進め方
専門分野の業務ロジックを含むツールの場合、開発会社ごとに、その専門性への理解度が大きく異なることがあります。相見積もりを取る際は、専門的な要件をどの程度正確に理解し、提案に反映できているかも、比較のポイントとして重視することをおすすめします。
たとえば、資格や専門知識を活かした業務支援ツールを開発する場合、業界特有の計算ロジックや、業界内で当然とされる用語・慣習を、開発会社側がどれだけ正確に理解しているかによって、提案の質に大きな差が生まれます。専門性が高い分野ほど、金額の安さだけで発注先を決めると、後から「業界の実情を理解していない提案だった」と気づくことがあるため、ヒアリングの段階で、業界特有の要件についてどのような質問が返ってくるかを、比較のポイントの一つにしておくとよいでしょう。
店舗の業務改善ツールの場合、相見積もりの進め方
店舗の業務改善ツールでは、実際の店舗運営への理解度が、提案の質に大きく影響します。相見積もりの際、各社に実際の店舗を見てもらう、あるいは業務の流れを詳しく説明する機会を設けることで、より現実的で精度の高い提案を受けやすくなります。
店舗の業務改善ツールは、机上のヒアリングだけでは伝わりにくい、現場特有の動き(人の配置、混雑時間帯、既存のオペレーションとの兼ね合いなど)が多く存在します。可能であれば、複数社に対して同じ条件で店舗見学の機会を設定し、それぞれの会社が現場を見てどのような提案の変化を見せるかを比較することも、有効な判断材料になります。すべての会社に同じタイミング・同じ説明で店舗を見てもらうことが、ここでも条件をそろえるポイントになります。
よくある失敗パターンとその対策
相見積もりの現場では、悪意なく条件がずれてしまうケースがほとんどです。ここでは、実際に起こりやすい失敗パターンを、対策とあわせて整理します。
失敗パターン1:打ち合わせの回数が会社ごとに違う
1社目とは3回打ち合わせを重ね、要望の細部まで詰めた一方、2社目・3社目とは1回の打ち合わせだけで見積もり依頼をしてしまう、というケースです。打ち合わせの回数が多いほど、要望の解像度は上がりますが、その解像度の差がそのまま提案の精度差になってしまい、「打ち合わせを重ねた会社の方が優れた提案をした」のか、「単に情報量が多かっただけ」なのかが分からなくなります。
対策としては、最初に決めた要望メモをベースラインとし、打ち合わせの回数自体は会社ごとに違ってもよいものの、最終的にどの会社にも「同じ更新後の要望メモ」を渡した状態で見積もりを依頼する、という運用に統一することです。打ち合わせの過程は多少ずれても、依頼の最終版を揃えることが重要です。
失敗パターン2:見積もり依頼のタイミングが数週間ずれる
1社目に相談してから2社目に相談するまでに時間が空くと、その間に市場の状況(開発会社側の繁忙期・閑散期)が変わり、見積もり内容や対応の丁寧さに差が出ることがあります。また、依頼側の要望自体も、時間の経過とともに変化しやすくなります。相見積もりは、できるだけ短い期間(目安として2〜4週間程度)に収め、全社への依頼をまとめて行うことをおすすめします。
失敗パターン3:担当者の熱量に引っ張られて要望が変わる
打ち合わせの中で、担当者が熱心に提案をしてくれると、依頼側もつい「それも良いですね、追加しましょう」と要望を広げてしまうことがあります。これは決して悪いことではありませんが、その広がった要望を他社に伝え忘れると、比較の前提が崩れます。打ち合わせ後は、必ず「今日決まった追加・変更点」をメモに反映し、他社にも同じ内容を共有する、というルールを徹底することが対策になります。
失敗パターン4:見積もりの有効期限を確認していない
見積書には、多くの場合「本見積もりの有効期限は発行日から◯日間」といった記載があります。相見積もりの検討に時間をかけすぎると、最初に受け取った見積もりの有効期限が切れてしまい、再見積もりが必要になることがあります。特に、資材費や外部サービスの利用料が変動しやすい構成の場合、有効期限切れ後の見積もりでは金額が変わることもあるため、検討スケジュールと見積もりの有効期限は、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
失敗パターン5:比較表を作らずに「印象」で決めてしまう
複数の見積もりを受け取ったにもかかわらず、比較表を作らず、最後に話した会社の印象や、資料の見やすさといった表面的な要素で発注先を決めてしまうケースもあります。相見積もりを取る手間をかけたのであれば、その手間を活かすために、簡単な表でもよいので、金額・機能範囲・スケジュール・契約形態などを並べて可視化することをおすすめします。比較チェックリストの各項目を、社数分の列を持つ表に書き出すだけでも、印象だけの判断を避けやすくなります。
相見積もりを始める前のチェックリスト
ここまでの内容を、相見積もりを始める前に一度確認できる形にまとめました。要望メモを作り終えたら、依頼を送る前に次の項目を確認しておくと、条件のズレを未然に防ぎやすくなります。
- [ ] 要望メモに、サービスの目的・利用者像・必須機能・あればよい機能・想定規模・希望スケジュールが、すべて記載されているか
- [ ] 必須機能とあればよい機能に、優先順位のラベル(Must / Should / Could)を付けたか
- [ ] 予算感の伝え方(金額を明示するか、幅を持たせるか、伝えないか)を、事前に1つの方針として決めたか
- [ ] 相談する社数を決めたか(目安は2〜3社)
- [ ] 相見積もりの検討期間(いつまでに発注先を決めるか)を、自分の中で決めているか
- [ ] 各社への依頼を、できるだけ近いタイミングで開始できるよう調整したか
- [ ] 打ち合わせで決まった追加・変更点を、都度メモに反映し、他社にも共有する運用を決めたか
- [ ] 見積もり受領後の比較方法(比較表のフォーマットなど)を、あらかじめイメージしているか
このチェックリストは、要望メモそのものとは別に、相見積もりという「進め方」自体の準備状況を確認するためのものです。要望メモの中身がどれだけ充実していても、進め方が会社ごとにバラバラになってしまうと、比較の公平性は損なわれてしまいます。
相見積もりの結果を、その後の発注にどう活かすか
相見積もりは、発注先を決めるための手段であると同時に、発注後の関係づくりの土台にもなります。相見積もりの過程で各社とやり取りした内容は、発注先を決めた後も無駄にはなりません。
たとえば、発注しなかった会社からの提案の中に、発注先の会社が触れていなかった視点や、リスクの指摘が含まれていることがあります。こうした情報は、発注先との打ち合わせの中で「他社からはこういう指摘もあったのですが、御社ではどう考えますか」といった形で活用することもできます。ただし、この場合も、他社の見積もり額そのものを交渉材料にするのではなく、提案内容の観点だけを参考にする、という線引きは保っておくとよいでしょう。
また、相見積もりの過程で、自分自身の要望がどれだけ固まっていたか、逆にどこが曖昧だったかも見えてきます。曖昧だった部分は、発注後の要件定義の段階で、あらためて詰めていく必要がある論点として引き継いでおくと、開発が始まった後の「言った・言わない」のトラブルを減らすことにもつながります。
まとめ
相見積もりは、複数の会社から見積もりを取るだけでは成立しません。各社に同じ要望を、同じ粒度で、同じタイミングで伝えることができて初めて、金額や提案内容を公平に比較できるようになります。
- 要望メモを作り、全社に同じ形で共有する
- 必須機能とあればよい機能を分けて伝える
- 予算感の伝え方の方針を先に決め、全社で統一する
- 他社の金額を交渉材料にしない、曖昧な要望のまま相談を始めない
- 受け取った見積もりは、総額だけでなく内訳・前提条件も含めて比較する
これらを意識して相見積もりを進めることで、「安さ」だけでなく、自分の要望を正確に理解し、実現してくれる開発会社を見極めやすくなります。各社に同じ条件を伝えたうえで提案を比較する段階では、金額の高低だけでなく、提案書を比べる判断軸を持っておくと、比較の精度がさらに上がる。
相見積もりを取る際に、予算感をどこまで開発会社に伝えるべきかで迷ったら、予算を先に伝えるべきか、隠すべきか。発注前の駆け引きもあわせて確認しておくと判断しやすくなります。
この記事の次に読みたい記事
相見積もりの伝え方を理解したら、次は開発会社の見極め方についても確認しておきましょう。あわせて次の記事も参考にしてください。
- 見積書の内訳(工数・単価・バッファ)の読み方
- 開発会社を見極めるために、提案書で見るべきポイント
- 個人が複数の見積もりを比較するとき、価格以外に見るべきポイント




