サービスをようやく公開できた。あとはSNSで告知すればユーザーが来てくれるはず——そう思って投稿ボタンを押したのに、反応はごくわずかな「いいね」だけだった。そんな経験をした方は少なくないと思います。特に会社員として働きながら複業でサービスを立ち上げた方の場合、告知に使える時間もフォロワーの数も限られているのが実情です。しかし、告知は「気合いで乗り切るもの」ではなく、事前の設計と当日の出し方次第で反応が大きく変わるものです。この記事では、公開告知のタイミング設計から、投稿文の作り方、複数プラットフォームの使い分け、よくある失敗パターンまで、実際に手を動かすときに迷わないレベルまで具体的に解説します。

この記事で分かること

  • 公開告知は「1回のお知らせ」ではなく、事前告知・当日・後追いの3段階で設計すると反応が積み上がりやすいこと
  • 投稿文は「機能の説明」ではなく「誰のどんな困りごとを、どう解決したか」を軸に書くと読まれやすいこと
  • 副業として発信する場合、個人アカウントを主軸にしつつ「なぜ作ったか」というストーリーを織り込むことで、会社員という立場を隠さなくても自然に届けられること

なぜ「公開しました」だけでは読まれないのか

多くの人が最初につまずくのは、告知投稿の内容が「公開しました。ぜひ使ってみてください」というシンプルなお知らせで終わってしまうことです。これは決して悪い投稿ではないのですが、SNSのタイムライン上ではこの手の投稿は毎日大量に流れてきます。フォロワーからすると、他人が作ったサービスの宣伝は基本的に「自分に関係のない情報」として処理されやすく、よほど強い興味を引く要素がない限り、スクロールされて終わりです。

読まれる告知投稿に共通しているのは、次の3つの要素のどれか(できれば複数)を含んでいることです。

  1. 共感できる困りごとが先に提示されている(「〇〇で毎回時間を取られていませんか」)
  2. 作った人の背景や動機が見える(「本業の合間に3ヶ月かけて作りました」)
  3. 今すぐ確認できる具体的な行動を促している(「今日から無料で使えます」「先着〇名は無料」など)

つまり、告知投稿は広告ではなく「物語の途中経過を共有する」くらいの温度感で書くと、フォロワーが自分ごととして受け止めやすくなります。いきなり機能一覧を並べるのではなく、なぜこれを作ったのか、誰のどんな悩みを解決するために時間を使ったのかを最初に置くことをおすすめします。

告知は「1回」ではなく「3段階」で設計する

公開告知を成功させるコツの一つは、公開当日の1投稿だけに賭けないことです。多くの人がやってしまう失敗が、公開日にまとめて1回だけ告知して、その後は何もしないパターンです。SNSのアルゴリズム上、1回の投稿がタイムラインに表示される時間は限られており、フォロワー全員がそのタイミングでSNSを開いているとは限りません。そこで、告知を次の3段階に分けて設計することをおすすめします。

公開告知の3段階タイムライン図。第1段階は公開3〜7日前の事前告知で期待値を育てる、第2段階は公開当日に朝昼夜で切り口を変えて複数回発信、第3段階は公開後1〜2週間の後追いで進捗や反応を共有し続ける流れを示す。

第1段階: 事前告知(公開の3〜7日前)

「今、こういうものを作っていて、来週公開予定です」という進捗共有です。ここでの目的は認知の獲得ではなく、期待値を少しずつ育てることです。完成品の画面をチラ見せしたり、開発中に気づいた発見を短く共有したりするだけでも構いません。この段階で反応してくれた人は、公開当日にもう一度告知したときに反応してくれる確率が高い「初期の見込みユーザー」になります。

第2段階: 公開当日の告知

いよいよ公開したことを伝える本番の投稿です。ここで重要なのは、投稿を1本で終わらせず、同じ内容を角度を変えて複数回に分けて発信することです。例えば、朝に「公開しました」という一報を出し、昼に「実際に使うとこう動きます」というスクリーンショット付きの投稿、夜に「なぜこれを作ったか」という背景ストーリーの投稿、というように時間帯とテーマをずらして出すと、1日の中で複数の露出機会を作れます。同じ文章をコピー&ペーストするのではなく、切り口を変えることがポイントです。

第3段階: 後追いの発信(公開後1〜2週間)

公開当日の熱量だけで終わらせず、その後の反応や小さな成果を発信し続けることが、実は最も差がつくポイントです。「公開して3日で〇人が使ってくれました」「初めてのフィードバックをもらいました」「早速1件、改善しました」といった小さな進捗報告を続けることで、告知を見逃した人にも接触機会が生まれますし、フォロワーに「動き続けているサービスだ」という印象を与えられます。この後追い発信の重要性については、公開後も発信を続けるための、無理のないSNS運用の型でも詳しく触れていますので、あわせて参考にしてください。

投稿文の型: 「困りごと→解決→今すぐの行動」

具体的な投稿文の組み立て方として、次の3段構成をテンプレートとしておすすめします。

  1. 困りごとの提示: 「〇〇な作業、毎回〇分かかっていませんか」「〇〇を管理するのに、いつもExcelとにらめっこしていました」
  2. 解決の提示: 「その悩みを解決するために、〇〇というサービスを作りました」「〇〇するだけで、この作業が〇分で終わります」
  3. 今すぐの行動喚起: 「今日から無料で試せます」「リンクはプロフィールから」「気になった方はコメントで教えてください」

この型が機能する理由は、読み手の思考の流れに沿っているからです。人は「これは自分に関係あるかもしれない」と思って初めて文章の続きを読みます。いきなり「〇〇というサービスをリリースしました」から始まる投稿は、その時点で「自分には関係ないかも」と判断されてしまいがちです。

投稿文の型「困りごとの提示→解決の提示→今すぐの行動喚起」の3ステップフロー図と、予約管理サービスを例にした読まれにくい投稿文(機能説明から始まる)と読まれやすい投稿文(困りごとから始まる)のBefore/After比較。

具体例で比較してみる

例えば、個人経営の飲食店向けに、予約管理を簡単にするサービスを公開したとします。

読まれにくい例: 「予約管理サービス『〇〇』を公開しました。カレンダー連携機能、リマインド通知機能、顧客管理機能を搭載しています。ぜひご利用ください。」

読まれやすい例: 「個人店のオーナーさんから『予約の電話とLINEとノートがバラバラで、ダブルブッキングしそうで怖い』という話をよく聞きます。この悩みを解決するために、予約を1つの画面にまとめられるサービスを作りました。今日から無料で試せます。」

後者は、機能の説明を一切していないにもかかわらず、何のためのサービスかが一瞬で伝わります。機能の詳細は、興味を持ってリンクを踏んだ先のランディングページ(LP)で説明すれば十分です。SNSの投稿文自体は「なぜ気になるべきなのか」を伝える役割に徹することをおすすめします。

どのSNSで発信するか、使い分けの考え方

複数のSNSを同時に使い分けようとして、結局どれも中途半端になってしまうケースをよく見かけます。まずは自分のターゲットユーザーが普段どこにいるかを基準に、メインで使うプラットフォームを1つに絞ることをおすすめします。

プラットフォーム向いている告知の性質注意点
X(旧Twitter)個人の思考・進捗・開発過程の発信、拡散狙い情報が流れるスピードが速いため複数回の投稿が前提
Instagramビジュアルで伝わるサービス(店舗系・生活系・ビジュアル訴求が強いもの)画像・カルーセルの見せ方に手間がかかる
Facebook実名ベースのコミュニティ、地域や業界のグループへの告知拡散力は低いが、既存の人間関係からの信頼が乗りやすい
LinkedInBtoB・専門職向けサービス、業界内での認知カジュアルな告知よりも背景・専門性を語る文体が合う
note・ブログ開発の背景や思いを長文で伝える単体では拡散しにくく、SNSからの誘導とセットで機能する

複数のプラットフォームに同じ告知を出すこと自体は問題ありませんが、それぞれの文化に合わせて文体や見せ方を微調整することをおすすめします。X向けに書いた短文をそのままLinkedInに貼り付けても、温度感が合わずに浮いてしまうことがあります。

プラットフォーム別・投稿文の具体例

前の章で使い分けの考え方を紹介しましたが、実際に手を動かすときは「どの言葉を選べばいいか」で手が止まってしまうことが多いと思います。ここでは、代表的なプラットフォームごとに、告知当日に使える投稿文のイメージを具体的に示します。あくまで型として参考にし、ご自身のサービス内容に合わせて言葉を置き換えてください。

Xでの投稿例

Xは文字数の制約があるため、要点を絞り込む必要があります。

「個人でお店をやっていると、予約管理って地味に一番のストレスですよね。電話・LINE・紙のノートがバラバラで、ダブルブッキングしそうで怖い……という声をたくさん聞いてきました。そこで、予約をひとつの画面にまとめられるサービスを作りました。今日から無料で使えます。詳しくはプロフィールのリンクから。」

この投稿の後、数時間後には「実際の画面はこんな感じです」というスクリーンショット付きの投稿を続けると、興味を持った人がもう一段階深く内容を理解できます。さらにその後、「実はこのサービス、〇〇という失敗をきっかけに作り始めました」という開発の裏話を投稿すると、単なる宣伝ではなく人間味のある発信として受け止められやすくなります。

Instagramでの投稿例

Instagramはビジュアルが主役になるプラットフォームなので、キャプションは補足情報という位置づけで考えます。カルーセル形式(複数枚の画像をスワイプできる投稿形式)を使うと、1枚目に「こんな悩みありませんか」という問いかけ、2枚目以降に画面の使い方、最後にCTA(行動喚起)という流れを作りやすくなります。ストーリーズ機能を使う場合は、リンクスタンプを貼ることで、フィード投稿よりも直接的にサービスへ誘導できます。

Facebook・地域コミュニティでの投稿例

店舗経営者や地域密着型のサービスを立ち上げた場合、個人のタイムラインだけでなく、地域の商店会グループや業界団体のFacebookグループに投稿することも効果的です。ただし、グループごとに宣伝投稿を歓迎するかどうかのルールが異なるため、事前にグループの投稿ルールを確認し、一方的な宣伝ではなく「相談」や「体験談の共有」という形で投稿すると受け入れられやすくなります。

LinkedInでの投稿例

LinkedInは実務的な文脈を好む傾向があるため、「なぜ作ったか」よりも「どんな課題意識から着手したか」を論理的に説明する文体が合います。「〇〇業界で長年感じていた非効率を解消するために、△△というサービスを開発しました」というように、専門性や問題意識を前面に出す書き方をおすすめします。

告知後の反応をどう見るか

投稿した後、多くの人は「いいね」やコメントの数だけを見て一喜一憂しがちですが、実際にユーザー獲得につながっているかどうかを判断するには、もう少し踏み込んだ確認が必要です。

まず見るべきなのは、投稿の閲覧数(インプレッション)に対して、実際にリンクをクリックした人がどれくらいいるかという比率です。閲覧数が多くてもクリックされていなければ、投稿文自体は目に留まったものの、行動を促す力が弱かった可能性があります。逆に閲覧数は少なくてもクリック率が高い場合は、興味を持った人にはしっかり刺さっているということなので、投稿文はそのままに、より多くの人に届ける工夫(投稿時間帯の見直し、ハッシュタグの調整など)を優先すると良いでしょう。

次に、リンクをクリックした人のうち、実際にサービスに登録したり利用を開始したりした人がどれくらいいるかという比率です。ここが低い場合は、告知投稿そのものよりも、リンク先のランディングページの内容や、登録までの手順に改善の余地がある可能性があります。告知の反応が悪いとすぐに投稿文を疑いたくなりますが、実は着地点であるページ側に原因があるケースも少なくないため、両方を切り分けて確認することをおすすめします。

こうした数値は、公開直後の1回だけでなく、事前告知・当日・後追いのそれぞれの段階で記録しておくと、どの発信が最も効果的だったかを後から振り返ることができます。次に別のサービスを立ち上げるときや、同じサービスの新機能を告知するときの参考データにもなるため、簡単なメモ程度で構わないので記録を残しておくことをおすすめします。

告知に使える素材を事前に準備しておく

告知当日になって「どんな画像を貼ろう」「スクリーンショットが見づらい」と慌てないために、公開の1〜2週間前から素材の準備を進めておくことをおすすめします。具体的には、以下のような素材があると告知の幅が広がります。

  • サービスのトップ画面やメイン機能の画面キャプチャ(できれば実際のデータが入った状態のもの。空っぽの画面は魅力が伝わりにくい)
  • 使う前と使った後の変化が分かる比較画像やイラスト
  • 開発中の試行錯誤が伝わるメモやラフスケッチの写真
  • 開発者自身の顔や作業風景の写真(顔出しに抵抗がなければ、信頼感の醸成に効果的)
  • 短い動作デモの動画(15〜30秒程度で、実際の操作の流れが分かるもの)

特に動画素材は、静止画のスクリーンショットよりも「実際に使ったらどうなるか」がイメージしやすく、SNS上での視認性も高い傾向があります。凝った編集をする必要はなく、画面収録に軽くテロップを入れる程度でも十分に機能します。

副業で発信する場合に気をつけたいこと(サブペルソナA向け)

会社員として働きながら複業でサービスを立ち上げた方にとって、SNSでの告知には独特の迷いが伴うことが多いと感じます。ここでは、そうした立場ならではの論点を整理します。

会社員であることを隠す必要はない

「本業の会社に知られたらどうしよう」という不安から、告知の熱量を落としてしまう方は少なくありません。ですが、多くの場合、複業での個人開発や副業でのサービス立ち上げ自体は、会社の就業規則に違反しない範囲で行っていれば問題にならないケースがほとんどです(就業規則や競業避止の観点は会社ごとに異なるため、心配な場合は事前に社内規定を確認しておくことをおすすめします)。

むしろ、「本業の合間を縫って作った」という背景そのものが、共感を呼ぶストーリーになります。「平日はサラリーマンとして働きながら、土日と平日の夜にコツコツ作りました」という一言は、読み手に対して「趣味や片手間ではなく、本気で取り組んでいる」という信頼感を与えます。無理に会社員であることを隠すよりも、それを「制約の中でやり切った」というポジティブな文脈として使う方が、告知の説得力が増すことが多いです。

個人アカウントを軸にする

複業の場合、サービス専用のアカウントを新規に作るよりも、まずは自分の個人アカウントで発信することをおすすめします。理由は単純で、フォロワー0人のアカウントから告知しても届く範囲が限られてしまうためです。すでに人間関係が築かれている個人アカウントで発信した方が、初速の反応を得やすくなります。サービス専用アカウントは、ある程度ユーザーが増えて運用の型が固まってから並行して育てていくくらいのペースで十分です。

発信の時間帯は「本業に支障が出ない範囲」で固定する

副業での発信を継続する上で最も崩れやすいのが「時間の確保」です。告知の第2段階・第3段階を丁寧にやろうとすると、思った以上に時間を取られます。おすすめは、通勤時間や昼休み、就寝前の30分など、あらかじめ「発信に使う時間帯」を決めておくことです。都度「いつ投稿しようか」と考えていると、結局後回しになって告知のタイミングを逃してしまいます。

匿名か実名か、中間の選択肢もある

「実名で顔を出すのは抵抗がある」という方も多いと思います。その場合、完全な匿名アカウントにするのではなく、「実名は出さないが、経歴や専門分野は明かす」という中間の運用も選択肢になります。例えば「都内でエンジニアとして働く会社員が、休日に作ったサービスです」という程度の情報開示でも、読み手には十分な信頼材料になります。どこまで開示するかは、ご自身の心地よいラインで決めることをおすすめします。

公開タイミングと曜日・時間帯の考え方

告知の中身だけでなく、「いつ投稿するか」も反応に影響を与える要素です。もちろん厳密な正解があるわけではありませんが、一般的な傾向として押さえておくと判断の助けになる点をいくつか紹介します。

平日の朝の通勤時間帯(7時台〜9時台)や、昼休み(12時台)、そして夜の帰宅後からの時間帯(20時〜22時台)は、多くの人がスマートフォンでSNSを開くタイミングとされています。逆に、深夜や早朝は反応が伸びにくい傾向にあります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、想定しているユーザー層によっては当てはまらないこともあります。例えば、店舗経営者向けのサービスであれば、営業が終わった後の夜遅い時間帯にじっくり見てもらえることもありますし、逆に飲食店であれば仕込みや営業の合間の時間帯が狙い目になることもあります。ターゲットとする読み手がどんな生活リズムで動いているかを想像しながら、投稿時間を決めることをおすすめします。

曜日については、月曜日の朝は多くの人が仕事のメールやタスク整理に追われているため、告知投稿の反応が伸びにくいと言われることがあります。逆に、週の半ばである火曜日から木曜日、あるいは金曜日の夕方以降は比較的余裕を持ってSNSを見てもらいやすい時間帯とされています。もちろんこれも絶対的な法則ではないため、実際に投稿してみて、自分のフォロワー層の反応が良い時間帯を見つけていくという姿勢も大切です。

また、公開日そのものを何曜日に設定するかも考えておきたいポイントです。土日に公開すると、平日は本業がある複業の方でも当日の告知やコメント対応に時間を割きやすいというメリットがあります。一方で、ビジネス系のサービスであれば、平日に公開した方がターゲットとなる会社員層の目に留まりやすいという考え方もあります。どちらが正解ということはなく、ご自身のターゲットとライフスタイルの両方を踏まえて決めることをおすすめします。

ハッシュタグと発見性を高める工夫

告知投稿がフォロワー以外の目にも触れるようにするための工夫として、ハッシュタグの活用があります。ハッシュタグは、そのサービスが属するジャンルや、開発の文脈を表すものを組み合わせて使うと、興味を持つ可能性が高い層に発見されやすくなります。

例えば、個人開発やサイドプロジェクトの文脈であれば「個人開発」「サイドプロジェクト」「複業」といったタグ、ターゲットの業界に関連するものであれば「飲食店経営」「美容室運営」といった業界名のタグ、サービスの機能に関連するものであれば「予約管理」「業務効率化」といった機能名のタグなどが考えられます。ハッシュタグは多ければ良いというものではなく、投稿の内容と関係の薄いタグを大量に付けると、かえって信頼性を下げてしまうこともあるため、3〜5個程度に絞って、内容と関連性の高いものを選ぶことをおすすめします。

また、同じジャンルで個人開発を発信している人たちのコミュニティ(勉強会やオンラインコミュニティ、Discordサーバーなど)に参加している場合は、そうした場での告知も有効な手段です。SNSの不特定多数への発信とは異なり、すでに「個人開発を応援したい」という前向きな気持ちを持った人たちが集まっている場なので、反応が得やすい傾向があります。

事例で見る、告知がうまくいったケースといかなかったケース

ここまで紹介してきた考え方を踏まえて、告知の成否を分けた架空の事例を2つ紹介します。実際のサービス名や個人が特定されないよう一般化した内容ですが、パターンとしての教訓を感じ取っていただければと思います。

うまくいったケースの例: 会社員として働きながら、副業で家計簿アプリを開発したケースです。公開の1週間前から「家計簿アプリを作っています」という進捗をXで発信し始め、開発中に感じた気づき(「自分自身、支出の記録が続かなくて挫折した経験から作り始めました」)を織り交ぜながら投稿を重ねました。公開当日は、朝に「公開しました」という投稿、昼に実際の操作画面のスクリーンショット、夜に「なぜ続けられる家計簿アプリにこだわったか」という背景ストーリーを投稿。公開後も、「最初の利用者から『続けられそう』という感想をもらえました」「早速いただいた意見をもとに、入力画面を1つ減らしました」といった小さな進捗を発信し続けました。結果として、事前告知の段階からすでに興味を持ってくれていた人たちが公開当日にすぐ試してくれて、初速の反応につながりました。

うまくいかなかったケースの例: 別のケースでは、開発に集中するあまり告知の準備を後回しにし、公開当日にいきなり「〇〇というサービスをリリースしました。多機能な予約管理ツールです」という投稿だけを行いました。機能の説明は詳細でしたが、「誰の、どんな悩みを解決するのか」が伝わりにくく、フォロワーからの反応はごくわずかでした。さらに、公開後の発信も途絶えてしまったため、告知を見逃した人に再度接触する機会もなく、認知が広がらないまま時間だけが過ぎてしまいました。この事例から得られる教訓は、機能そのものよりも「誰のためのものか」を伝えることの重要性と、1回の告知で終わらせず発信を継続することの大切さです。

よくある失敗パターン

告知でつまずきやすいポイントを、実際によく見られる失敗例としてまとめます。

失敗パターン1: 公開直前まで告知を一切していない

サービスの完成度を高めることに集中しすぎて、告知の準備を後回しにしてしまうケースです。事前告知がゼロの状態でいきなり公開当日に「公開しました」と投稿しても、認知の土台がないため反応が伸びにくくなります。開発の後半に差し掛かったら、並行して事前告知の準備を進めることをおすすめします。

失敗パターン2: 機能の説明だけで終わっている

前述の通り、機能一覧の羅列は読み手の興味を引きにくい典型例です。「誰の、どんな困りごとを解決するのか」を必ず1文目か2文目に置くことを意識してください。

失敗パターン3: リンクの導線が分かりにくい

意外と見落とされがちなのが、告知投稿を見た人が実際にサービスにたどり着けるかどうかです。Xの投稿本文にURLを入れると表示のされ方によっては目立ちにくいことがありますし、Instagramの投稿では本文中のURLがそもそもリンクとして機能しません。プラットフォームごとに「プロフィール欄にリンクを固定する」「ストーリーズのリンクスタンプを使う」など、リンクへの導線を事前に確認しておくことをおすすめします。

失敗パターン4: 1回投稿して満足してしまう

公開当日に1本投稿して、その後の反応を追わずに次の作業に移ってしまうパターンです。SNSは投稿してすぐの反応がすべてではなく、コメントへの返信やリポスト、後追いの発信によって、じわじわと露出が増えていくことも多くあります。告知後の数日は、こまめに反応を確認し、コメントには丁寧に返信することをおすすめします。

失敗パターン5: 身内だけの反応で満足してしまう

家族や友人からの「いいね」やコメントだけで安心してしまい、実際に見知らぬユーザーに届いているかどうかを検証しないまま次のフェーズに進んでしまうケースです。身内の反応は励みにはなりますが、実際のユーザー獲得につながっているかどうかは別問題です。可能であれば、投稿の閲覧数やリンクのクリック数など、数字で確認できる指標も合わせて見ることをおすすめします。

告知前チェックリスト

公開告知に取りかかる前に、以下の項目を確認しておくと抜け漏れを防げます。

  • [ ] サービスの「誰の、どんな困りごとを解決するか」を1文で説明できるか
  • [ ] 事前告知を公開の3〜7日前に投稿する予定を立てたか
  • [ ] 公開当日、異なる切り口の投稿を2〜3本用意したか
  • [ ] リンクへの導線(プロフィール欄・固定投稿など)を事前に整えたか
  • [ ] スクリーンショットや画面の動きが分かる画像・動画を用意したか
  • [ ] 公開後1〜2週間の後追い投稿のネタ(進捗・反応・改善点)をメモしているか
  • [ ] コメントやDMに返信する時間を確保できているか
  • [ ] 複業の場合、発信できる時間帯をあらかじめ決めているか

Q&A: よくある疑問

Q. フォロワーが少なくても告知する意味はありますか?

意味はあります。フォロワーが少なくても、そのアカウントを見ている人が偶然リポストしてくれたり、告知を見た知人が別の場所で紹介してくれたりすることで、思わぬ広がり方をすることがあります。また、フォロワーが少ない段階での発信を続けることで、後から見返したときに「公開初期の記録」として蓄積されていくという側面もあります。フォロワー数の多さよりも、まずは発信を止めないことをおすすめします。

Q. 告知投稿はどのくらいの頻度で出せばいいですか?

公開当日は1日に2〜3本程度、切り口を変えて出すイメージで問題ありません。ただし、まったく同じ文章を短時間に連投すると、フォロワーによっては煩わしく感じられることもあるため、時間帯と内容にそれぞれ変化をつけることをおすすめします。公開後1〜2週間は、2〜3日に1回程度のペースで進捗や反応を共有すると、無理なく継続しやすいです。

Q. 炎上や批判的なコメントが怖くて、告知に踏み切れません。

この不安は多くの方が抱えるものです。実際には、個人開発の小さなサービスの告知投稿が炎上するケースはそれほど多くありません。むしろ多いのは「反応がまったくない」という静かな結果です。批判的なコメントが来た場合も、内容が的を射ている指摘であれば改善のヒントとして受け止め、感情的な誹謗中傷であれば無理に反応せず距離を置く、という基本方針をあらかじめ決めておくと、いざというときに慌てずに対応できます。厳しい意見をどう受け止めるかについては、ユーザーの声の扱い方を扱った別の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

まとめ

公開の告知は、一発勝負のイベントではなく、事前告知・当日・後追いという時間軸で設計することで反応が積み上がっていきます。投稿文は機能の説明ではなく「誰のどんな困りごとを、どう解決したか」を軸に組み立てることが、読まれるかどうかの分かれ目になります。会社員として複業でサービスを立ち上げた方であれば、その立場を隠すのではなく、制約の中で作り上げたストーリーとして発信に活かすことをおすすめします。最初の告知で得られる反応はごくわずかかもしれませんが、そこで得られた小さな反応こそが、最初のユーザーを見つける手がかりになります。焦らず、しかし止めずに、発信を続けていくことをおすすめします。告知後に何をすべきかをさらに詳しく知りたい方は、公開したら終わりじゃない。ユーザーを増やし、育て、続けるための公開後ガイドもあわせて参考にしてください。

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