「このサービス、あったらいいのに」と思いついたとき、次にやるべきことは「誰かに話す」ことではなく、「その悩みを持つ人が、実際にどれくらい検索しているか」を確かめることです。とはいえ、本業を持ちながら複業でまず検証してみたいという段階では、有料の調査ツールに何万円も払う判断はまだ早すぎます。この記事では、無料のツールだけを使って、思いついたキーワードにどれくらいの検索需要があるのかを自分で調べる方法を、手順に沿って解説します。

この記事で分かること

  • 検索需要の確認は、Google広告のキーワードプランナー・Googleトレンド・サジェスト機能という3つの無料ツールの組み合わせで、ある程度まで自分でできること
  • 検索ボリュームの数字だけを見ても意味がなく、「誰が」「なぜ」検索しているかという検索意図とあわせて読む必要があること
  • 検索需要がゼロ、または極端に少ない場合でも即座に「アイデアが悪い」と判断せず、市場がまだ言語化されていない可能性を考慮すべきこと

なぜ検索需要の確認が必要なのか

複業でサービスを立ち上げる場合、投じられる時間もお金も本業を持つ会社員や個人事業主に比べて限られています。休日や平日の夜にコツコツ準備を進めるスタイルだからこそ、「そもそも需要があるのか分からないまま作り始めてしまう」という遠回りを避けることが重要です。

検索需要の確認は、ユーザーインタビューランディングページ(LP)を使った検証に入る前の、いわば「一次スクリーニング」の役割を果たします。知人に「いいね」と言われて満足するのではなく、不特定多数の人が実際にその悩みをどんな言葉で検索しているのかという客観的なデータに触れることで、思い込みだけで突き進むリスクを減らせます。

検索需要の確認には、大きく2つの目的があります。

1つ目は、「そのキーワードで実際に検索されているかどうか」という存在確認です。誰も検索していない言葉であれば、少なくとも検索エンジン経由での集客は期待できません。2つ目は、「どんな言葉で、どんな文脈で検索されているか」という検索意図の把握です。同じテーマでも、検索する人によって知りたいことは異なります。この2つを押さえておくと、サービスの名称や訴求ポイントを決める段階でも役立ちます。

なお、検索需要の調査だけでアイデアの良し悪しを断定することはできません。ランディングページ(LP)を使った検証やユーザーインタビューと組み合わせて、多角的に判断材料を集めることをおすすめします。構想期全体の進め方を先に押さえておきたい場合は、「あったらいいのに」を、形にできるアイデアに変える。構想期の進め方も参考になります。

無料で使える3つのツールと役割分担

有料のSEO分析ツールを使えば、より精度の高い検索ボリュームの推定値が得られますが、月額数千円から数万円のコストがかかるものが多く、まだアイデアの検証段階では過剰投資になりがちです。無料の範囲でも、次の3つのツールを組み合わせれば十分な材料が得られます。

キーワードプランナー・Googleトレンド・サジェスト関連検索の3つの無料ツールが中央の「検索需要確認」に繋がるハブ&スポーク図。存在確認と検索意図の把握を組み合わせて読む重要性を示す。

1. Googleキーワードプランナー

Google広告の管理画面から使える無料ツールで、本来は広告出稿のためのキーワード選定機能ですが、広告を出さずに検索ボリュームの目安を調べる用途でも広く使われています。Google広告のアカウントを作成し(広告費を実際に払わなくても登録自体は可能です)、「キーワードプランナー」を開くと、任意のキーワードを入力してその月間平均検索ボリュームのレンジ(たとえば「1万〜10万」のような幅)を確認できます。

広告費を一定額使っていないアカウントでは、正確な数値ではなく大まかな範囲でしか表示されないという制約がありますが、「桁が大きいか小さいか」を把握する目的であれば十分に機能します。

2. Googleトレンド

無料で誰でも使える、検索需要の時系列変化を可視化するツールです。単発の検索ボリュームではなく、「その言葉への注目が増えているのか、減っているのか」「季節性があるのか」を確認するのに向いています。

たとえば、思いついたサービスのテーマが「夏場だけ検索が増える」性質のものだった場合、年間を通じて安定した需要を前提にした事業計画では見立てがずれてしまいます。Googleトレンドで過去5年分のグラフを見れば、こうした季節変動や、長期的なトレンドの上昇・下降を視覚的に把握できます。

3. 検索サジェスト・関連キーワード

検索窓にキーワードを入力したときに表示される予測変換(サジェスト)や、検索結果ページの下部に表示される「関連する検索」は、実際にその言葉と一緒に検索されている言葉の集合です。これを見ることで、キーワードプランナーやGoogleトレンドでは分からない「具体的にどんな悩みと結びついて検索されているか」という生々しい検索意図が見えてきます。

サジェストを効率的に収集するには、検索窓に思いついたキーワードを入力し、末尾に「あ」から「わ」までの各文字を1つずつ追加して表示される候補をメモしていく方法(いわゆる「サジェストのあいうえお調査」)が地道ですが確実です。手作業がつらい場合は、無料のサジェストキーワード収集ツール(検索すればいくつも見つかります)を併用すると効率化できます。

実際の調査手順

ここからは、3つのツールを使った具体的な調査の流れを説明します。

検索需要調査の4ステップを示すフロー図。①キーワードに分解②キーワードプランナーで確認③Googleトレンドで時系列確認④サジェストで検索意図を掘る、の順に矢印で連結。

ステップ1: 思いついたアイデアを「検索されそうな言葉」に分解する

最初のハードルは、自分が思いついたサービスのアイデアを、そのまま検索キーワードとして入力してもヒットしないという点です。たとえば「個人経営の美容室向けの予約管理を簡単にするサービス」というアイデアがあったとしても、悩んでいる本人が検索するのはもっと直接的な言葉です。「美容室 予約管理 アプリ」「美容室 予約 電話対応 減らす」といった具体的な言葉に分解する必要があります。

このとき、自分がそのサービスの利用者だったら、どんな言葉で困りごとを検索するかを想像してみることをおすすめします。可能であれば3〜5個程度の候補キーワードを用意しておくと、後の調査で比較しやすくなります。

ステップ2: キーワードプランナーで検索ボリュームのレンジを確認する

用意したキーワード候補を1つずつキーワードプランナーに入力し、月間平均検索ボリュームのレンジを記録します。同時に表示される「関連キーワード」の候補も、思いつかなかった言い換え表現を発見するヒントになるため、あわせて目を通しておきます。

このとき注意したいのは、単一のキーワードだけでなく、複数の言い換え表現(いわゆるロングテールのキーワード)も合わせて確認することです。「美容室 予約管理」という2語のキーワードは検索ボリュームが大きく出ても競合も強い一方、「美容室 予約管理 個人経営 安い」のような具体的な言葉は検索ボリューム自体は小さくても、そのニーズを持つ人が明確に絞り込まれているという特徴があります。

ステップ3: Googleトレンドで時系列の変化を確認する

キーワードプランナーで検索ボリュームがある程度確認できたキーワードについて、Googleトレンドで過去5年間のグラフを表示します。ここで見るべきポイントは3つです。

  • 直線的に右肩上がりか、右肩下がりか、それとも横ばいか
  • 季節によって周期的に増減しているか
  • 特定の年・月に急上昇したスパイクがあり、その後元の水準に戻っていないか(一時的な話題性ではなく、構造的な需要増かどうかの判断材料になります)

Googleトレンドは複数のキーワードを同時に比較できる機能もあるため、候補キーワード同士の相対的な人気度合いを見る際にも活用できます。

ステップ4: サジェスト・関連検索で検索意図を掘る

最後に、有力なキーワードについてサジェストと関連検索を確認し、「このキーワードで検索する人は、具体的に何を知りたいのか」を書き出します。たとえば「美容室 予約管理」というキーワードのサジェストに「無料」「比較」「おすすめ」といった言葉が多く出てくる場合、検索している人はすでに複数のサービスを比較検討している段階にある可能性が高いと読み取れます。逆に「とは」「仕組み」といった言葉が多い場合は、まだ情報収集の初期段階にいる人が多いという見立てになります。

この検索意図の分析結果は、後にサービス名やLPの見出しを考える際の材料としても再利用できます。

検索ボリュームの数字をどう読むか

無料ツールで得られる検索ボリュームは、あくまで「目安のレンジ」であり、厳密な数値ではありません。数字そのものの大小に一喜一憂するよりも、次のような相対的な視点で読むことをおすすめします。

検索ボリュームが多い場合

検索ボリュームが大きいキーワードは、需要がある証拠である一方、競合となる既存サービスや情報サイトも多く存在する可能性が高いことを意味します。個人・複業で立ち上げる場合、検索結果の1ページ目に入り込むこと自体が難易度の高い戦いになりやすい点に注意が必要です。この場合は、より具体的な言葉(ロングテールキーワード)に絞り込んで、競合の少ない領域から着手する方法が現実的です。

検索ボリュームが少ない場合

検索ボリュームが小さいキーワードは、一見「需要がない」ように見えますが、必ずしもそうとは限りません。次の3つの可能性を検討してみることをおすすめします。

  1. 本当に需要が小さい: そもそもその悩みを持つ人自体が少ない可能性です。ターゲットの人数規模を別の統計データ等で確認する価値があります。
  2. 悩みがまだ言語化されていない: 悩みを持つ人が多くいても、それを検索する「言葉」を持っていない場合があります。この場合、検索需要は低く出ても、SNSでの発信やユーザーインタビューなど別の手段で需要を確認する必要があります。
  3. 検索キーワードの分解が的確でない: ステップ1での言葉の分解が実際の検索行動とずれている可能性です。候補キーワードを増やして再調査してみることをおすすめします。

いずれの場合も、検索ボリュームが少ないという結果だけでアイデアを断念するのではなく、「なぜ少ないのか」の仮説を立てて、次の検証手段(ユーザーインタビューやフェイクドアテストなど)に進むことが大切です。

検索ボリュームが少ない場合に検討すべき3つの可能性を示す意思決定ツリー。①本当に需要が小さい②まだ言語化されていない③キーワード分解が的確でない、それぞれに対応する次の一手を提示。

よくある失敗パターン

DIYでの検索需要調査には、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。事前に知っておくことで回避しやすくなります。

失敗パターン1: 自分本位のキーワードで調べてしまう

サービスを思いついた本人は、業界の専門用語や、サービス名にしたい言葉で検索してしまいがちです。しかし実際に悩んでいる利用者は、もっと日常的で具体的な言葉を使います。「業務効率化」「DX」のような抽象的な言葉ではなく、利用者が実際に口にする悩みの言葉(「予約の電話対応が大変」「シフト調整がめんどくさい」等)で調べ直すことをおすすめします。

失敗パターン2: 検索ボリュームの数字だけで判断してしまう

先述の通り、検索ボリュームの大小だけでアイデアの良し悪しを判断するのは早計です。特にニッチな課題を解決するサービスの場合、検索ボリュームは小さくて当然というケースも多くあります。数字だけでなく、検索意図・競合状況・実際に話を聞いた人の反応もあわせて総合的に判断することをおすすめします。

失敗パターン3: 一度の調査で結論を出してしまう

検索需要は時期によって変動します。また、キーワードの分解の仕方を変えるだけで、まったく違う結果が見えてくることもあります。1回の調査結果を絶対的なものとせず、候補キーワードを変えながら複数回調査し、傾向を掴むことをおすすめします。

失敗パターン4: 有料ツールの数字と無料ツールの数字を混同する

無料のキーワードプランナーで表示される検索ボリュームは、広告費を一定額使っていない状態では大まかなレンジ表示になります。一方、有料のSEO分析ツールではより細かい推定値が出ることがあります。この2つの数字の性質が違うことを理解せず、無料ツールのレンジ表示の上限値だけを見て楽観的な事業計画を立ててしまうという失敗は避けたいところです。あくまで目安のレンジとして扱うことをおすすめします。

チェックリスト:調査を始める前に確認すること

DIYでの検索需要調査に着手する前に、次の項目を確認しておくと、後から手戻りが少なくなります。

  • [ ] 思いついたアイデアを、利用者本人が使う言葉で3〜5個のキーワード候補に分解できているか
  • [ ] Google広告アカウント(キーワードプランナー用)を作成済みか
  • [ ] 調査結果を記録するための簡単な表(スプレッドシート等)を用意したか
  • [ ] 検索ボリュームだけでなく、サジェスト・関連検索から検索意図もセットで確認する計画になっているか
  • [ ] 1回の調査で結論を出さず、複数のキーワードパターンで比較する前提になっているか
  • [ ] 調査結果が「アイデアを進める」「見直す」のどちらに転んでも、次にどう動くかを事前に決めているか

最後の項目は特に重要です。検索需要が期待通りだった場合も、そうでなかった場合も、「次に何をするか」を決めておかないと、調査結果を見た瞬間に思考が止まってしまいます。需要が確認できた場合はランディングページ(LP)での検証へ、需要が読み取りにくい場合はユーザーインタビューへ、というように次のアクションを先に決めておくことをおすすめします。

複業で検証する場合に気をつけたいこと

複業として、まず小さく検証してから本格的に踏み出すかどうかを判断したいという段階では、時間的な制約が最大の課題になります。平日の夜や休日にしか作業できない中で、検索需要の調査に何日もかけるのは現実的ではありません。

この段階でおすすめしたいのは、「調査に使う時間をあらかじめ決めてから始める」という進め方です。たとえば「今週末の2時間だけ検索需要の調査に使う」と決めておき、その中でキーワードプランナー・Googleトレンド・サジェストの3ツールを一通り回してみます。完璧な調査を目指すのではなく、「明らかに需要がなさそうなアイデアを早期に見分ける」ことを目的にすると、時間を区切りやすくなります。

また、複業で検証する段階では、まだサービス名や事業計画を固めすぎないことも大切です。検索需要調査の結果、当初想定していたキーワードとは違う言葉の方が需要が大きいと分かることも珍しくありません。この段階ではキーワードの分解や言い換えに柔軟性を残しておき、調査結果を受けてサービスの訴求軸自体を調整できる余地を持たせておくことをおすすめします。

いきなり大きな予算や時間を投じるのではなく、無料ツールでの検索需要調査という低コストな一歩から始め、手応えを感じられた段階で次の検証(ランディングページ(LP)を使った検証やユーザーインタビュー)に進むという段階的な進め方が、複業での立ち上げには向いています。

なお、検索エンジンを取り巻く環境自体も変化を続けています。生成AIが検索結果に直接回答を返す機会が増えるにつれて、従来型のSEOだけでなく、AI検索時代の新しいSEOの考え方も合わせて押さえておくと、今後の検索需要の調べ方や解釈の仕方を考えるうえで参考になります。

Q&A:検索需要調査でよくある疑問

Q. 検索ボリュームが0や極端に少ない場合、アイデアはあきらめるべきですか。

A. すぐにあきらめる必要はありません。前述の通り、需要が「まだ言葉になっていない」だけの可能性があります。SNSでの発信や知人以外へのユーザーインタビューなど、検索エンジン以外の手段でも需要の手応えを確認してから判断することをおすすめします。

Q. スマートフォンだけでも調査できますか。

A. Googleトレンドやサジェスト調査はスマートフォンのブラウザからでも十分に確認できます。一方、キーワードプランナーはGoogle広告の管理画面の操作がやや複雑なため、パソコンでの作業をおすすめします。

Q. 地域名を含めたキーワード(たとえば「渋谷 〇〇」)でも調査できますか。

A. 可能です。キーワードプランナーでは地域を絞り込んだ検索ボリュームの確認機能もあります。店舗向けサービスなど、地域性のあるアイデアの場合はこの絞り込み機能を活用することをおすすめします。

Q. 競合サービスがすでに存在する場合、検索需要調査の意味はありますか。

A. あります。競合が存在するということは、そのキーワードに一定の検索需要がすでに実証されているとも言えます。この場合は検索需要の有無を確認する目的よりも、競合がまだ拾えていない検索意図(サジェストに出てくるが、競合サービスのLPでは触れられていない悩みなど)を見つける目的で調査すると効果的です。競合調査についての詳細は関連記事も参考にしてください。

Q. 調べた結果、想定と違うキーワードの方が需要がありそうだと分かったら、サービスの方向性を変えるべきですか。

A. 検索需要はあくまで判断材料の一つです。すぐに方向性を大きく変える前に、その意外な需要が自分の作りたいサービスの本質とどう関係しているかを一度考えてみることをおすすめします。単に集客用のキーワード戦略を調整するだけで対応できる場合と、サービスの核となる価値提案自体を見直す必要がある場合とでは、その後の動き方が変わってきます。

実際の調査例で流れをたどってみる

手順だけを読んでも、実際にどう動くのかが掴みにくいという方のために、架空の例で一連の流れをたどってみます。

「個人経営の学習塾向けに、保護者への月謝の請求・入金確認を自動化するサービス」というアイデアを思いついたと仮定します。

まずステップ1で、このアイデアを検索されそうな言葉に分解します。塾の経営者本人が検索するとしたら、「学習塾 月謝 請求 自動化」「塾 月謝 未払い 管理」「学習塾 経理 効率化」といった言葉が候補になりそうです。ここで大事なのは、自分が最初に思いついた「月謝請求自動化サービス」という言葉そのものではなく、悩んでいる本人が使いそうな言葉に変換する視点です。

次にステップ2で、この3つの候補をキーワードプランナーに入力します。仮に「学習塾 月謝 請求 自動化」は検索ボリュームがほとんど出ず、「塾 月謝 未払い」の方がまだ検索されている、という結果が出たとします。この時点で、「自動化」という言葉自体はまだ検索者の頭の中になく、「未払いをどうにかしたい」という切実な悩みの方が先に存在していることが読み取れます。

ステップ3でGoogleトレンドを確認すると、「塾 月謝」に関連する検索は年度の切り替わり(3〜4月)に増える傾向が見えるかもしれません。これは、新学期に合わせて保護者との月謝のやり取りを整理し直すタイミングがあることを示唆しています。この情報は、サービスをリリースするタイミングや、営業を仕掛けるタイミングを考える際の材料になります。

最後にステップ4で、「塾 月謝 未払い」のサジェストを見てみると、「対応」「催促 文例」「トラブル」といった言葉が並んでいたとします。ここから、検索している塾経営者は「未払いをどう防ぐか」だけでなく、「実際に未払いが発生したときにどう対応すればいいか」という文面や対処法まで知りたがっていることが分かります。これは、サービスの機能要件(たとえば催促メールの自動送信テンプレート機能)を考えるヒントにもなります。

このように、検索需要調査は単に「需要があるかないか」の二択を確認するだけの作業ではなく、サービスの具体的な機能や訴求ポイントのヒントを拾う工程でもあります。数字だけを見て終わらせず、検索する人がどんな状況に置かれているのかを想像しながら読み解くことをおすすめします。

業種・領域ごとに気をつけたいキーワードの特性

思いつくサービスの領域によって、検索需要調査の結果の出方には特徴があります。いくつかの傾向を知っておくと、結果の解釈を誤りにくくなります。

toB(法人向け)寄りのアイデアの場合

法人・事業者向けのサービスは、個人向けのサービスに比べて検索ボリューム自体が小さく出る傾向があります。これは検索する人数自体(事業者の数)が個人消費者に比べて少ないためで、検索ボリュームが小さいことが即座に「需要がない」を意味しないケースの代表例です。この場合、検索ボリュームの絶対値よりも、競合サービスの有無や、業界専門メディア・SNSでの言及状況もあわせて確認することをおすすめします。

新しい概念・まだ名前がついていない悩みの場合

生成AIの普及にともなって新しく生まれた業務課題など、まだ一般的な呼び方が定着していない悩みを扱う場合、検索キーワード自体が定まっていないため、どのキーワードで調べても検索ボリュームが小さく出ることがあります。この場合は、検索需要調査よりも先に、SNSでの発言やユーザーインタビューを通じて「その悩みを、人々はどう言葉にしているか」を先に掴む方が効率的なことがあります。検索需要調査は、言葉が定まった後の「確認作業」として位置づけると良いでしょう。

季節性・地域性が強いアイデアの場合

観光・イベント・農業など、季節や地域による差が大きい領域のアイデアは、年間を通じた平均値だけを見ると実態を見誤ります。Googleトレンドで必ず複数年分のグラフを確認し、いつ需要のピークが来るのかを把握してから、事業の立ち上げタイミングを検討することをおすすめします。地域性が強い場合は、キーワードプランナーの地域絞り込み機能も併用し、対象とする地域だけの検索ボリュームを確認する視点も持っておくと良いでしょう。

調査結果をどう記録し、次の判断につなげるか

一度きりの調査で終わらせず、後から見返せる形で記録を残しておくことをおすすめします。スプレッドシートに、次のような列を用意しておくと便利です。

  • 調査した日付
  • 候補キーワード
  • キーワードプランナーで確認した検索ボリュームのレンジ
  • Googleトレンドで確認した傾向(上昇・下降・横ばい・季節性の有無)
  • サジェスト・関連検索で見つかった言葉(検索意図の手がかり)
  • この結果から立てた仮説・次のアクション

この記録は、複業として時間を区切って検証を進める場合に特に有効です。一度で結論を出せなかったとしても、次に時間が取れたときにゼロから調べ直す必要がなく、前回の記録を起点に続きから調査を進められます。また、後日サービスの内容を調整した際にも、「そのときはどう検索されていたか」という記録が残っていることで、変化の有無を比較できるという利点もあります。

検索需要調査は一度で完結する作業ではなく、アイデアを育てていく過程で何度も繰り返す作業だと捉えておくことをおすすめします。最初の調査でうまくいかなかったとしても、キーワードの分解や領域の絞り込み方を変えるだけで、まったく違う結果が見えてくることは珍しくありません。焦らず、無料ツールでできる範囲から地道に検証を積み重ねていくことが、複業での立ち上げにおいては遠回りのように見えて、実は一番の近道になります。

無料ツールの限界と、次のステップに進む目安

無料ツールだけで検索需要を確認する方法には、当然ながら限界もあります。ここで一度、その限界を整理し、いつ次のステップ(有料ツールの検討や、他の検証手段への移行)に進むべきかの目安を持っておきましょう。

まず、キーワードプランナーの検索ボリュームはあくまで「レンジ」であり、正確な数値ではありません。広告費を一定額投じているアカウントであれば、より詳細な数値に近い表示がされるようになりますが、検証段階でそこまでのコストをかける必要は通常ありません。「桁のレベルで大小を把握する」という目的に留めておけば、無料の範囲でも十分に役立ちます。

次に、無料ツールでは「検索ボリュームの経年での正確な推移」や「競合サイトが実際にどのキーワードで何位に表示されているか」といった詳細な分析はできません。この段階まで踏み込みたくなった場合は、有料のSEO分析ツールの無料トライアル期間を使う、あるいは検索結果を実際に自分の目で見て、上位表示されているサイトの内容を確認するという手作業での代替手段があります。上位表示されているサイトが、大手企業の運営する情報サイトばかりなのか、個人や中小企業が運営するサービスサイトも混在しているのかを見るだけでも、その領域でどの程度個人が戦えそうかの手触りが得られます。

もう一つ知っておきたい限界は、無料ツールはあくまで「すでに検索エンジンで検索されている需要」しか見えないという点です。SNSで話題になっているが検索行動にはまだ表れていない需要や、口コミ・紹介中心で成立している需要(検索エンジンをほとんど使わない層の需要)は、この方法では捉えられません。特に複業のサブペルソナとして想定されるような、SNS上の発信に反応しやすい層をターゲットにする場合は、検索需要調査と並行して、X等のSNS上で関連する言葉がどれだけ話題になっているかも確認しておくと、片方だけでは見えない需要を補完できます。

これらの限界を踏まえると、無料ツールでの検索需要調査は「アイデアを次の検証段階に進めてよいかどうかの、最初のフィルター」として位置づけるのが適切です。検索需要が確認できた、あるいは需要がまだ言葉になっていないだけだと判断できた場合は、次にランディングページを使った検証やユーザーインタビューといった、より実際の反応に近い形での確認に進むことをおすすめします。逆に、複数のキーワードパターンで調査しても一貫して需要の手応えが薄く、SNS上でも話題になっていないという場合は、そのアイデアの前提(誰の、どんな悩みを解決するのか)自体を見直すタイミングかもしれません。

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