ユーザー0人には、複数の原因が考えられる

公開ボタンを押して数日、あるいは1週間が経っても、ユーザーが1人も来ない。この状況に置かれると、多くの人は反射的に「もっと告知しなきゃ」と考えます。SNSの投稿頻度を上げる、知人にもう一度DMを送る、広告出稿を検討する——どれも間違いではありませんが、実は「ユーザー0人」という結果には、まったく性質の違う原因が混ざって存在しています。

告知が届いていないから0人なのか。届いてはいるが中身を見て離脱しているから0人なのか。この2つは見た目には同じ「0人」でも、打つべき手がまったく逆になります。告知不足なのに中身をいじってしまうと、せっかく検証していたコンセプトの手応えが分からなくなりますし、逆に中身の問題なのに告知量だけ増やしても、届く人数が増えるだけで反応率は変わらず、疲弊するだけに終わります。

まず大事なのは「そもそも何人に届いたのか」を確認することです。ここが分からないまま告知か中身かを議論しても、勘に頼るだけになってしまいます。SNS投稿のインプレッション数、LPへのアクセス数、そこからの離脱率——この3つの数字がまず起点になります。

告知方法を疑うべきサイン

次のような状態であれば、問題は中身ではなく「届いていないこと」にある可能性が高いです。

  • SNS投稿のインプレッションが数十〜百程度で頭打ちになっている
  • LP自体へのアクセス数が、公開から1週間経っても2桁に届かない
  • 告知した相手(知人・同業者・既存顧客)からの反応が「見た」の一言だけで止まっている
  • 告知した投稿・DM・メールの本数自体が、実はまだ数えるほどしかない

特に見落としがちなのが最後の項目です。「告知したのに反応がない」と感じていても、振り返ってみると実際の告知回数はSNS投稿1回、知人へのDM3件程度、ということが少なくありません。これは統計的に見ても母数が足りていないだけで、サービスの中身とは無関係です。

副業でリベンジ的に再挑戦している人や、専門職として既存顧客ネットワークを持っている人ほど、「告知は恥ずかしいから最低限で済ませたい」という心理が働きがちです。しかし、この段階での告知は営業ではなく「存在を知らせる」だけの行為です。恥ずかしさを理由に告知量を絞ると、中身の検証をする前に母数不足で終わってしまいます。公開直後、最初のユーザーをどこから集めるか は、まさにこの母数づくりの部分を扱っています。届いている人数がそもそも少ないと自覚できたなら、次に打つ手は中身の見直しではなく、告知先・告知回数・告知の型を増やすことです。

中身を見直すべきサイン

一方で、次のような状態であれば、問題は届いていないことではなく「届いた上で離脱されている」ことにあります。

最初のユーザーが1人も来ないとき、告知不足のサインと中身の問題のサインを4つの指標(LPアクセス数・滞在時間・反応の質・知人の反応)で対比した図。

指標告知不足のサイン中身の問題のサイン
LPアクセス数2桁に届かない数十〜百単位である
滞在時間測定不能なほど少ないアクセスはあるが数秒で離脱
反応の質「見た」で止まる「良さそうだけど今は…」で止まる
知人の反応そもそも反応が来ない反応はあるが行動に移らない

LPへのアクセス自体は一定数あるのに、そこから登録や利用開始に進まない場合、疑うべきは「何を解決するサービスなのか」が一文で伝わっているか、「今すぐ試す理由」があるか、という中身の設計です。これは、そもそも「誰の」「どんな悩み」を解決するのかというアイデアの主語が曖昧なまま公開してしまったケースと地続きの問題です。公開前の検証段階で主語がぼやけていた場合、公開後のLPでも同じ曖昧さが露呈します。「誰の」「どんな悩み」を解決するのか。アイデアの主語を決める で扱った主語の明確さは、公開後にも影響し続けます。

もう一つの確認方法が、知人や同業者への直接ヒアリングです。「見たけど使わなかった理由」を一人二人に率直に聞いてみると、告知不足では説明のつかない、明確な離脱理由が見えてくることがあります。これは公開後の 厳しい意見・低評価をどう受け止め、改善に変えるか にもつながる話ですが、公開直後のこの段階では大げさなフィードバック収集の仕組みを作るよりも、数人に直接聞く方が早く答えに近づきます。

詳細はコラムへ

「ユーザー0人」という一つの結果の裏側には、告知量の不足と中身の課題という、性質の異なる2つの原因が隠れています。まずアクセス数という客観的な数字で切り分け、母数が足りていなければ告知の量と型を増やす、母数はあるのに離脱しているなら中身の伝わり方を見直す——この順番を守ることが、限られた時間と資金を無駄にしないための最短ルートです。

告知の具体的な進め方については、公開直後、最初のユーザーをどこから集めるか で詳しく扱っています。中身の見直しが必要だと判断した場合は、公開前に立ち返って 「誰の」「どんな悩み」を解決するのか。アイデアの主語を決める を読み返すことをおすすめします。そして、実際に0人から1人目を獲得するまでの具体的な打ち手は、ユーザー0人から1人目を獲得するまでの、具体的な打ち手 で扱っています。