公開後、また「構想」に戻る日が来る
1つ目のサービスが動き始め、ユーザーが少しずつ増え、運用のリズムができてくると、頭のどこかで次のことを考え始める人が多いです。「この機能を大きく広げようか」「もう一つ別のアイデアも試してみようか」——そう思ったとき、実は自分がもう一度「構想期」の入り口に立っていることに気づきにくいものです。
このメディアの4段階ガイド(構想→自作→発注→育成)は、1つのサービスを立ち上げるための時系列でした。しかし事業は一直線には進みません。育成期の途中で次の一手を考える瞬間は、実質的に構想期のやり直しです。ここで一度、どの記事に立ち返ればいいかを整理しておきます。
「2つ目」を考えるなら、まず主語を決め直す
2つ目のサービスや大きな機能拡張を考えるとき、多くの人が陥りやすいのが「今のサービスの延長線上で、なんとなく便利そうな機能」から発想してしまうことです。しかし構想期の基本に立ち返れば、最初に決めるべきは機能ではなく「誰の、どんな悩みを解決するのか」です。
1つ目のサービスを運用してきたことで、あなたの手元には以前にはなかった情報があります。ユーザーからの問い合わせ、使われ方の偏り、想定していなかった要望——これらは新しいアイデアの主語を決める最良の材料です。「誰の」「どんな悩み」を解決するのか。アイデアの主語を決める の視点をもう一度使って、2つ目の主語を言語化してみてください。専門職スピンオフ型の読者であれば、1つ目のサービスの利用者が別の悩みを漏らしていないか、店舗・地域事業者DX型の読者であれば、他店への展開が新しい主語になっていないか、それぞれ見直す価値があります。
需要検証は、1つ目より甘くなりやすい
ここで注意したいのが、2つ目の需要検証です。「1つ目がうまくいったから、次もいけるだろう」という感覚は自然ですが、実際には1つ目の成功要因(既存の顧客基盤、SNSのフォロワー、たまたま拾えたタイミング)が2つ目にそのまま乗るとは限りません。構想期に一度やった検証のプロセスを、面倒でももう一度たどり直すことをおすすめします。
具体的には、無料ツールで検索需要の当たりをつけ、実際に欲しい人がいるかを確かめる段階を飛ばさないことです。作る前に「本当に欲しいか」を確かめる、ランディングページ検証の仕方 で扱った手順は、2回目の挑戦でも省略しないほうがいい工程です。1つ目の成功体験があるぶん「今度は勘でいける」と思いがちですが、勘が当たった理由を検証せずに次に進むと、同じ再現性を持たないまま予算を投じることになります。
需要検証にかける時間の目安は、以下のように考えると整理しやすくなります。
| 状況 | 検証にかける姿勢 |
|---|---|
| 1つ目と同じユーザー層への機能拡張 | 既存ユーザーへのヒアリングで代替可能。フェイクドアテストは軽めでよい |
| 1つ目と近いが異なる客層への横展開 | 検索需要の確認とランディングページ検証を省略しない |
| 1つ目とは無関係な新規アイデア | 構想期の手順をゼロから踏み直す。1つ目の実績に引きずられない |
機能拡張なのか、別サービスの立ち上げなのかによって、必要な検証の重さが変わります。この線引きを曖昧にしたまま「なんとなく次」に進んでしまうのが、育成期でよく見られるつまずき方です。
4段階ガイドを、もう一度地図として使う
このガイドは本来、構想→自作→発注→育成という一直線の流れを想定して設計されています。しかし実際にサービスを育てていく人にとっては、この4段階は一度きりのものではなく、事業の成長に応じて何度も繰り返す循環です。1つ目のサービスの育成期にいながら、頭の中では2つ目の構想期を並走させている、という状態は珍しくありません。
そういうときは、育成期の記事を読み進めるのと並行して、構想期の記事群にもう一度目を通すことをおすすめします。特に、過去に一度検討して見送ったアイデアがある場合は、環境が変わっている可能性もあります。棚上げにしていたアイデアがあるなら、今の状況で改めて評価し直す価値があるかもしれません。
詳細はコラムへ
このガイドはあくまで「いつ」「どちらを選ぶか」の道しるべであり、個別の実務判断——検証手法の具体的な進め方、主語の決め方の細かいコツ、費用感の見積もり方など——はコラムの各記事に委ねています。2つ目の構想を練るときは、今回挙げた記事だけでなく、自作・発注・育成の各段階のコラムも改めて読み返してみてください。1回目の経験があるぶん、同じ記事でも見え方が変わってくるはずです。

