公開した瞬間から、確認すべきことが始まる

サービスを公開すると、ほっとひと息つきたくなります。ですが、実際にはここからが一番気を張るべき期間です。テスト環境では見えなかった不具合が、実際のユーザーの手に渡った瞬間に表面化することは珍しくありません。ブラウザやOSの組み合わせ、通信環境、入力する文字の種類——開発中には想定しきれなかった条件が、公開直後の数日間で一気に噴き出します。

大きな障害である必要はありません。むしろ多いのは、決済ボタンを押しても画面が固まる、問い合わせフォームを送信してもエラーになる、スマホで見ると一部のレイアウトが崩れている、といった細かい不具合です。ただし細かいからといって軽視できるものではなく、最初に触れたユーザーがそこでつまずけば、そのまま離脱してしまいます。公開直後の1週間は、成長のための施策よりも先に、土台が崩れていないかを確認する期間だと考えてください。

確認すべきこと1:主要な動線の動作確認

まず見るべきは、ユーザーが実際にたどる主要な動線です。新規登録からログイン、目的の機能の利用、退会までの一連の流れを、開発者ではなく初めて訪れた人の目線で一通りなぞってください。可能であれば、自分が使っているパソコンやスマホだけでなく、家族や知人に別の端末で試してもらうと、思わぬ崩れに気づけます。

公開直後1週間で確認すべき3項目(主要な動線の動作確認・問い合わせ窓口の稼働確認・決済の動作確認)を示したチェックリスト図。

特に確認しておきたいのは次のような点です。

  • スマートフォンとパソコン、両方での表示崩れの有無
  • 主要なブラウザ(Chrome、Safariなど)での動作差
  • フォーム入力時のエラーメッセージが正しく表示されるか
  • メール認証やパスワード再設定など、メール経由の機能が届いているか
  • ページの読み込みが極端に遅い箇所がないか

AIと一緒にコーディングした試作をそのまま公開している場合は、想定外の入力(絵文字や長すぎる文字列など)に対する挙動もあわせて見ておくと安心です。ここで見つかる不具合の多くは、公開前のテストでは再現しにくかったものです。慌てずに、優先度をつけて直していきましょう。

確認すべきこと2:問い合わせ窓口が機能しているか

もうひとつ見落とされがちなのが、問い合わせ窓口そのものの稼働確認です。フォームを設置していても、送信先のメールアドレスが誤っていたり、自動返信の設定ミスで問い合わせが届いていなかったりするケースは実際によくあります。自分で一度テスト送信を行い、通知が届くところまで確認してください。

あわせて、届いた問い合わせにどれくらいの時間で返信するか、自分の中である程度の目安を決めておくと良いでしょう。公開直後は、思い通りに動かないユーザーからの声が集まりやすいタイミングでもあります。ここでの初動が丁寧であるかどうかは、そのユーザーがサービスに好意的であり続けるかを左右します。問い合わせへの向き合い方や、そこで届く声をどう受け止めていくかについては、厳しい意見・低評価をどう受け止め、改善に変えるか で詳しく扱っています。

確認すべきこと3:決済が正しく動いているか

有料機能や課金モデルを組み込んでいる場合、決済まわりは特に神経を使って確認すべき箇所です。テスト環境では正常に動作していても、本番環境の決済設定が反映されていない、金額の表示と実際の請求額がずれている、といったトラブルは起こり得ます。

最低限、次の点は自分自身の目と手で確認してください。

確認項目見るポイント
決済完了までの一連の流れ途中でエラーにならず完了できるか
表示金額と請求額の一致税込・税別表記のずれがないか
決済完了後のメール・画面案内ユーザーに正しく通知されるか
解約・返金の導線迷わず操作できる場所にあるか

決済は一度トラブルが起きると信頼を大きく損なう領域です。少額でも構わないので、可能であれば自分自身で実際に決済を完了させ、解約までの流れも一度体験しておくことをおすすめします。

詳細はコラムで確認を

ここまで挙げた確認項目は、あくまで「公開直後の1週間で見るべき範囲」を絞ったチェックリストです。それぞれの項目をどう改善し、どう伸ばしていくかは、また別の話になります。たとえば、最初のユーザーをどう集めていくかは 公開直後、最初のユーザーをどこから集めるか で、公開後にかかり続ける運用費の実態は 公開後の運用費、実際にいくらかかっているか で、それぞれ詳しく取り上げています。

公開直後は不安になりやすい時期ですが、確認すべきことをひとつずつ潰していけば、落ち着いて次のフェーズに進めます。焦って新しい機能を追加するよりも、まずは今あるものが正しく動いているかを確かめること。それが、この1週間で最も大切な仕事です。