構想期の成果物は、検証期でそのまま使う道具になる

構想期でやってきたこと――アイデアを言葉にする、似たサービスを調べる、誰かに話を聞く――は、思いついたことを整理するための作業に見えて、実はすべて検証期で使う道具を作る作業でした。

検証期の最初の一歩は「本当に欲しい人がいるか」を確かめることです。ここで本当に「買いたい」人がいるか。フェイクドアテストという検証手法のような手法を使うにしても、土台になる「何を」「誰に」検証するのかが曖昧なままでは、テストの結果を正しく読めません。構想期で固めたはずのものが実は固まっていなかった、と検証の途中で気づくのは珍しいことではありませんが、できれば検証を始める前に気づいておきたいところです。

この記事では、検証期のガイドに進む前に手元にあると良いものを3つに絞って確認します。すでに構想期のガイドを一通り読んだ方なら、ここは答え合わせのつもりで読んでください。

持っていくべきもの(1) 一文で説明できるアイデア

検証期でまず問われるのは「これは何のサービスですか」を、相手が一度で理解できる長さで答えられるかどうかです。

長い説明が必要なアイデアは、まだ構想期の途中にいる可能性があります。目安はこうです。

  • 誰の(ターゲット)
  • どんな悩みを(課題)
  • どう解決するか(手段)

この3つが一文に収まっていれば、フェイクドアテストのランディングページのコピーも、知人へのヒアリングで最初に投げる質問も、迷わず作れます。逆にここが「便利なツールです」「効率化できます」のようにぼんやりしたままだと、検証期に入ってから何を測っているのか自分でも分からなくなります。

一文にする作業そのものは構想期の範囲なので、詳しいやり方は「あったらいいのに」を、人に説明できる一文にする方法に譲ります。ここではまだその一文が固まっていない場合は、検証期に進む前に戻って仕上げることをおすすめします、とだけ言っておきます。

持っていくべきもの(2) 想定ユーザー像

一文の中の「誰の」を、もう一段具体的にしたものが想定ユーザー像です。検証期のヒアリングやランディングページ検証は、この像がぼやけているとターゲットを外した相手に声をかけ続けることになり、結果も参考になりません。

構想期の段階で、次のくらいまで言えるようにしておくと検証がやりやすくなります。

項目
職業・立場個人経営の美容室オーナー
抱えている悩み予約管理を紙台帳と電話でやっていて二重予約が起きる
悩みへの対処のいまLINE公式アカウントで我流運用している
悩みの深刻さ月に数回はダブルブッキングでクレームになる

専門職や店舗経営者の方であれば、この像は「自分の顧客そのもの」に近いはずです。副業での再挑戦であれば、以前挫折したときに想定していたユーザー像を、今も同じかどうか見直す価値があります。数年前と状況が変わっていることも多いので、必要であれば数年前と何が変わったか。再挑戦の前に確認したい環境の変化も参考にしてください。

持っていくべきもの(3) 競合との違い

3つ目は「似たサービスと比べて、なぜこれを選ぶ理由があるのか」です。競合が存在すること自体は問題ではありません。むしろ競合がいるということは、そのニーズに市場があることの証拠でもあります。問題は、違いを言葉にできないまま検証に入ってしまうことです。

検証期でランディングページを作るにしても、ヒアリングで話を聞くにしても、「既存のあのサービスじゃダメなんですか」と聞かれる場面は必ず出てきます。そのときに答えが用意できているかどうかで、検証から得られる情報の質が変わります。

構想期で競合調査をしていれば、この違いはすでに言語化できているはずです。まだ手をつけていない場合は、似たサービスが既にあるかを、30分で調べる方法のような短時間でできる調べ方から始めても間に合います。専門職・店舗経営者の方であれば、大手サービスにはない「現場を知っているからこそ作れる細かさ」が違いになることも多く、その場合は無理に機能面で差別化しようとしなくても構いません。

検証期ガイドへの橋渡し

ここまでの3つ――一文で説明できるアイデア、想定ユーザー像、競合との違い――が揃っていれば、検証期の最初のガイドに進む準備は整っています。

構想期から検証期に引き継ぐべき3つの持ち物を示すチェックリスト。一文で説明できるアイデア、想定ユーザー像、競合との違いを列挙する。

検証期で最初にやることは、この3つを使って「本当に欲しい人がいるか」を、作る前に確かめることです。アイデアをいきなり形にする前に、需要そのものを検証する考え方については作る前に「本当に欲しいか」を確かめる、ランディングページ検証の仕方で扱っています。

もし3つのうちどれかが曖昧なまま検証期に進んでしまうと、テストの設計自体がぶれてしまい、良い結果が出ても悪い結果が出ても「何が確かめられたのか分からない」という状態に陥りがちです。急ぐ気持ちは分かりますが、ここは焦らず、一度立ち止まって確認しておく価値があります。

詳細はコラムへ

この記事では引き継ぐべき3つの要素を挙げるところまでにとどめています。それぞれの作り方・調べ方の具体的な手順は、上に挙げたコラムの各記事で詳しく解説しています。自分の状況に近いものから読み進めてみてください。

構想期はここで一区切りです。次のガイドからは、いよいよ「本当に欲しい人がいるか」を確かめる検証期に入ります。