サービスを公開する準備が整い、いよいよ利用者を迎えられる、という段階になって、「利用規約やプライバシーポリシーは、どこまで用意すればいいのか」と迷う人は少なくありません。機能の実装や、デザインの調整には時間をかけていても、この法務的な準備は後回しにされがちで、公開の直前になって慌てて対応することになる、というケースも珍しくありません。この記事では、公開前に用意する利用規約・プライバシーポリシーの最低ラインを解説します。

この記事で分かること

利用規約とプライバシーポリシーは、専門家に依頼すれば万全ですが、個人・複業でのサービス立ち上げの初期段階では、まず最低限押さえるべきラインを知ることが重要です。この記事では、その最低ラインと、後から専門家に確認すべきタイミングを整理します。何を書けばよいかが分からないまま公開してしまうと、後になって不足に気づき、慌てて追記することになりがちです。最初の段階で押さえるべき範囲を把握しておくことで、落ち着いて準備を進められます。

結論を先に、簡潔に示すと、押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 利用規約は「サービスの利用条件」を明文化した文書
  • プライバシーポリシーは「個人情報の取り扱い」を説明する文書
  • 個人情報を扱わない小規模なサービスでも、最低限の記載は用意すべき

利用規約とは何か、なぜ必要か

利用規約とは、サービスを利用する際の条件(禁止事項、免責事項、退会の手続きなど)を明文化した文書です。利用規約がないまま、サービスにトラブルが発生した場合、どちらの責任か、どう対応すべきかの根拠がなく、対応に困ることになります。

利用規約を用意しておくことで、利用者との間で、あらかじめ合意した条件に基づいて、トラブルに対応できます。個人・複業でのサービスであっても、利用者が1人でもいる限り、利用規約を用意しておくことをおすすめします。

プライバシーポリシーとは何か、なぜ必要か

プライバシーポリシーとは、サービスが取得する個人情報を、どのような目的で、どのように取り扱うかを説明する文書です。個人情報保護法により、個人情報を取り扱う事業者は、その利用目的を、本人に通知または公表する義務があります。

プライバシーポリシーは、この義務を果たすための文書であり、氏名やメールアドレスなど、何らかの個人情報を取得するサービスであれば、原則として用意する必要があります。

公開前に用意する、最低ラインの内容

公開前に用意する最低ラインの内容を2カラムで示した図解。左側は利用規約の5項目(サービスの内容・禁止事項・免責事項・退会手続き・規約変更)、右側はプライバシーポリシーの4項目(取得情報・利用目的・第三者提供・問い合わせ窓口)と個人情報を扱わない場合の注記を並べている。

利用規約の最低ライン

  • サービスの内容(どのようなサービスかの簡単な説明)
  • 禁止事項(不正利用、他の利用者への迷惑行為など)
  • 免責事項(サービスの利用によって生じた損害について、運営者がどこまで責任を負うか)
  • 退会・利用停止の手続き
  • 規約の変更について(規約を変更する場合の手続き)

利用規約に必ず入れておきたい条項については、別記事でさらに詳しく解説しています。

プライバシーポリシーの最低ライン

  • 取得する個人情報の項目(氏名、メールアドレスなど)
  • 利用目的(何のために、その情報を使うか)
  • 第三者提供の有無(外部のサービスと情報を共有するか)
  • 問い合わせ窓口

個人開発サービスのプライバシーポリシーで、何をどこまで書くべきかについては、別記事で詳しく解説しています。

利用規約とプライバシーポリシー、それぞれの位置づけの違いをもう一度整理する

利用規約とプライバシーポリシーは、しばしば1つの文書としてまとめて扱われがちですが、本来は目的が異なる、別々の文書です。利用規約は、サービス全体の利用条件を定めるものであり、個人情報の有無にかかわらず必要になります。一方、プライバシーポリシーは、個人情報の取り扱いという、より限定された範囲を対象にした文書です。

この違いを理解しておくことで、「プライバシーポリシーさえあれば十分」あるいは「利用規約さえあれば十分」という誤解を避けられます。個人情報を取得するサービスであれば、原則として、両方の文書を、それぞれの目的に応じて用意することをおすすめします。逆に、利用規約に個人情報の取り扱いに関する条項を1つだけ含め、それをもってプライバシーポリシーの代わりとするという簡略化も、サービスの規模によっては見られますが、個人情報保護法が求める通知・公表の内容を十分に満たせているかを、慎重に確認する必要があります。

利用規約とプライバシーポリシーの目的の違いを2カラムで比較した図解。利用規約は対象範囲・主な読者・トーン・代表項目を黒系カードで示し、プライバシーポリシーは同じ観点をオレンジ紫グラデーションのカードで示し、両方が必要であることを中央の円で強調している。

個人情報を扱わない場合でも、最低限の記載は必要か

サービスが個人情報を一切扱わない場合(例えば、ログイン不要で、誰でも匿名で使える簡単なツールなど)、プライバシーポリシーの法的な必要性は低くなります。ただし、利用者に安心感を持ってもらうため、「このサービスは、個人情報を取得していません」という一文だけでも、明記しておくことをおすすめします。

利用規約については、個人情報の有無にかかわらず、複数の利用者が使うサービスであれば、用意しておくことをおすすめします。

テンプレートをそのまま使うことのリスク

インターネット上には、利用規約・プライバシーポリシーのテンプレートが多く公開されています。これらのテンプレートは、たたき台として活用できますが、そのまま使うことにはリスクがあります。テンプレートは、一般的な内容を想定して作られているため、自分のサービスの実態(取得する情報の種類、決済の有無など)に、正確に合っていない可能性があります。

テンプレートを使う場合も、自分のサービスの内容に合わせて、必要な箇所を修正することをおすすめします。

いつ専門家に相談すべきか

個人的な検証段階の、小規模なサービスであれば、テンプレートをベースにした自作の利用規約・プライバシーポリシーで、当面は対応できる場合が多くあります。しかし、次のような段階になったら、専門家(弁護士など)への相談を検討することをおすすめします。

  • 有料サービスとして、本格的に運営する段階
  • 決済機能や、機密性の高い個人情報を扱う段階
  • 利用者数が大きく増え、トラブルのリスクが高まった段階

法律が関わる機能を専門家に頼む理由については、別記事でも詳しく解説していますが、利用規約・プライバシーポリシーについても、同様の考え方が当てはまります。

なお、法務面の整備とあわせて見落とされがちなのが、サービスを支えるサーバーやシステム基盤のセキュリティ対応です。特に、古いOSやサーバーを使い続けている場合の対応費用感については、セキュリティ対応の費用感も参考になる。

公開後、規約を変更する場合の注意点

サービスを運営する中で、利用規約やプライバシーポリシーの内容を変更する必要が出てくることがあります。この場合、変更内容を、利用者に適切な方法で通知することが重要です。重要な変更(利用料金の変更など)については、事前の予告期間を設けることも、トラブルを避けるために有効です。

専門知識を活かしたツールの場合、追加で検討したいこと

医療、金融など、特に機密性の高い情報を扱う専門分野のツールの場合、業界特有の規制に基づいた、追加の記載が必要になることがあります。自分の専門分野に、個人情報保護法以外の追加規制がないかを、事前に確認しておくことをおすすめします。

利用規約・プライバシーポリシーを、実際に作る手順

利用規約・プライバシーポリシーを作る4ステップを矢印でつないだフロー図。サービスの実態整理、信頼できるテンプレート探し、自分のサービスに合わせた文言修正、第三者への確認という順に、黒からカテゴリカラーへ変化するグラデーションカードで示している。

ステップ1:サービスの実態を、箇条書きで整理する

文書を作り始める前に、まず自分のサービスが「何を、どう扱っているか」を、箇条書きで整理することをおすすめします。取得する個人情報の項目、決済の有無、外部サービス(分析ツール、メール配信サービスなど)との連携の有無を、1つずつ書き出してみてください。この整理ができていないと、テンプレートのどの部分を、どう修正すればよいかが分からなくなります。

ステップ2:信頼できるテンプレートを探す

整理ができたら、公的機関や、信頼できる法律事務所が公開しているテンプレートを探します。個人のブログなどで配布されているテンプレートより、公的な機関や専門家が監修したものを優先することをおすすめします。個人情報保護委員会のウェブサイトには、プライバシーポリシー作成の考え方に関する資料が公開されており、参考になります。

ステップ3:自分のサービスに合わせて、文言を修正する

テンプレートを、ステップ1で整理した自分のサービスの実態に合わせて、書き換えていきます。特に、「取得する情報の項目」「利用目的」「第三者提供の有無」は、テンプレートのままにせず、自分のサービスの実態に、正確に合わせることが重要です。

ステップ4:一度、第三者に読んでもらう

作成した文書を、家族や知人など、法律の専門家ではない第三者に、一度読んでもらうことをおすすめします。「分かりにくい部分はないか」「不安に感じる記載はないか」を確認してもらうことで、利用者目線での改善点に気づけることがあります。

公開後、規約の存在をどう周知するか

利用規約・プライバシーポリシーを用意しただけでは、利用者に見てもらえなければ意味がありません。サービスのフッター(画面下部)や、会員登録の画面に、これらの文書へのリンクを分かりやすく設置することをおすすめします。

会員登録の際に、「利用規約に同意する」というチェックボックスを設けることで、利用者が規約に同意した上でサービスを使い始めたという記録を残せます。この記録は、後にトラブルが発生した際の、重要な証拠にもなります。

利用規約・プライバシーポリシーがないことで、実際に起こりうる問題

問題例1:退会したい利用者への対応に困る

利用規約に退会の手続きが明記されていないと、利用者から「退会したい」と連絡があった際に、どう対応すべきかの基準がなく、その都度、個別に判断することになります。判断がぶれると、利用者間で不公平感が生まれることもあります。

問題例2:トラブル発生時、責任の所在が曖昧になる

サービスの不具合によって、利用者に何らかの不利益が生じた場合、免責事項が明記されていないと、運営者がどこまで責任を負うべきかが曖昧になり、話し合いが長引くことがあります。免責事項を明記しておくことで、こうした事態への備えになります。

問題例3:個人情報の取り扱いについて、利用者から問い合わせが来る

プライバシーポリシーがないと、「自分の情報はどう使われるのか」という利用者からの問い合わせに、都度、口頭で説明する必要が生じます。文書として明記しておくことで、こうした問い合わせの多くを、未然に防げます。

個人・複業でのサービス立ち上げに特有の悩み

悩み1:法律の専門知識がなく、何が正しいか分からない

法律の専門知識がない状態で、利用規約・プライバシーポリシーを作成することに、不安を感じる人は多くいます。しかし、完璧な文書を最初から目指す必要はありません。まずは最低限の内容を用意し、サービスが成長する段階で、専門家に見直しを依頼するという、段階的なアプローチで問題ありません。

悩み2:専門家に依頼する費用をかけられない

複業の初期段階では、専門家への依頼費用をかけられないことも多くあります。この場合、まずは公的機関のガイドラインやテンプレートを参考に、自作の文書を用意し、サービスが軌道に乗り、収益が生まれた段階で、専門家によるチェックを検討するという順序で進めることをおすすめします。

利用規約とプライバシーポリシー、それぞれの読者は誰か

利用規約とプライバシーポリシーは、どちらも「サービスと利用者の間の約束事」を明文化した文書ですが、想定している読者や、読まれる場面が少し異なります。この違いを意識しておくと、それぞれの文書に何を書くべきかが、より明確になります。

利用規約は、主に「サービスをどう使うか」というルールに関心がある利用者、あるいは、トラブルが起きた際に「どちらの責任か」を確認したい利用者が読みます。一方、プライバシーポリシーは、「自分の情報がどう扱われるか」に不安を感じた利用者が、その不安を解消するために読むことが多い文書です。この違いを意識して、利用規約は淡々と条件を列挙する形に、プライバシーポリシーは、利用者の不安に寄り添うような、丁寧な説明を心がけると、それぞれの目的に合った文書になります。

業種・サービス内容によって、追加で検討したい記載事項

コミュニティ型サービスの場合

利用者同士が交流する機能(コメント、メッセージのやり取りなど)があるサービスの場合、利用規約に、利用者間のトラブルについて、運営者がどこまで関与するかを明記しておくことをおすすめします。誹謗中傷や、迷惑行為が発生した場合の、アカウント停止の基準についても、あらかじめ定めておくと、実際にトラブルが起きた際に、迅速に対応しやすくなります。

予約・申込機能があるサービスの場合

予約や申込を受け付けるサービスの場合、キャンセルポリシー(いつまでにキャンセルすれば、どのような扱いになるか)を、利用規約とは別に、分かりやすく明記しておくことをおすすめします。キャンセルに関するトラブルは、利用者との関係を損ないやすいため、事前の明確な取り決めが特に重要です。

無料版と有料版がある、フリーミアム型サービスの場合

無料プランと有料プランを提供するサービスの場合、それぞれのプランで提供される機能の違い、有料プランの解約手続き、料金の変更がある場合の予告方法などを、利用規約に明記しておくことをおすすめします。

個人情報の「取得していない」ことを証明する難しさ

「このサービスは個人情報を取得していません」と明記する場合、実際に取得していないことを、継続的に確認する仕組みも必要です。サービスに新しい機能を追加した際、意図せず個人情報を取得するようになっていないかを、都度確認することをおすすめします。

例えば、問い合わせフォームを追加した場合、そこで入力されるメールアドレスは個人情報に該当するため、「個人情報を取得していない」という記載を、そのままにしておくと、実態と合わなくなってしまいます。機能を追加・変更するたびに、プライバシーポリシーの内容も、あわせて見直す習慣をつけることをおすすめします。

副業リベンジ型が、初めての利用規約作成でつまずきやすい点

会社員として働きながら複業でサービスを立ち上げる場合、業務で契約書や利用規約を扱った経験がある人であっても、「自分が発注者ではなく、規約を作る側になる」という立場の違いに戸惑うことがあります。

会社の業務で目にしていた利用規約は、法務部門が作成し、内容の正確性についても組織的な確認プロセスを経たものであることが一般的です。個人で立ち上げる場合、この確認プロセスを、自分一人、あるいは家族や知人の協力だけで代替する必要があります。「会社にいたときと同じ水準の文書を、いきなり自分だけで作らなければならない」というプレッシャーを感じすぎず、まずは個人・複業規模で現実的に用意できる最低ラインから始めることをおすすめします。

店舗DX型が、利用規約に追加で検討したい視点

店舗の業務改善のためにツールを開発し、それを他店にも展開する可能性がある場合、利用規約には、店舗ごとのデータの取り扱いについても言及しておくことをおすすめします。特に、複数店舗で共通のツールを使う場合、ある店舗の情報が、別の店舗の関係者に見えてしまわないようにするという約束を、利用規約やプライバシーポリシーの中で明確にしておくことが、店舗側の安心材料になります。

店舗の顧客情報(来店履歴、予約情報など)を扱う場合は、店舗の顧客自身が同意するプライバシーポリシーとは別に、店舗(事業者)との間で交わす利用規約も必要になることがあります。この2つの文書の対象が異なることを、混同しないよう整理しておくことが重要です。

利用規約・プライバシーポリシーの文体・表現について

法律に関わる文書だからといって、必要以上に難解な言葉を使う必要はありません。むしろ、個人・複業でのサービスの場合、利用者との距離が近いことが多いため、できるだけ分かりやすい言葉で書くことをおすすめします。

ただし、免責事項や、契約不適合責任に関する条項など、法的な意味合いが強い部分については、独自の言い回しで簡略化しすぎると、意図した効果が得られないことがあります。分かりやすさと、法的な正確性のバランスを取ることが望ましく、判断に迷う部分については、その箇所だけを専門家に確認してもらう、という部分的な依頼の仕方も現実的な選択肢です。

複数の言語で提供する場合の注意点

サービスを日本語だけでなく、英語など他の言語でも提供する場合、利用規約・プライバシーポリシーも、対応する言語で用意することをおすすめします。この場合、どちらの言語の文書が優先されるか(例えば、内容に矛盾があった場合、日本語版を正とするなど)を、あらかじめ明記しておくと、解釈の違いによるトラブルを避けられます。

翻訳を機械翻訳だけに頼ると、法律的な意味合いが正確に伝わらない可能性があるため、重要な条項については、翻訳の質を確認する、あるいは専門家によるチェックを受けることをおすすめします。

利用規約・プライバシーポリシーの、バージョン管理

サービスを長期間運営する中で、利用規約やプライバシーポリシーは、何度か改訂することになります。改訂の履歴を、簡単な形で記録しておくことをおすすめします。「いつ、どの条項を、どのように変更したか」を記録しておくことで、後から「あの時点では、どういう規約だったか」を確認する必要が生じた場合にも、対応しやすくなります。

多くのサービスでは、利用規約のページに「最終更新日」を明記し、改訂履行の記録を別途保管しておくという運用が行われています。個人・複業での運営であっても、この記録の習慣を、最初から持っておくことをおすすめします。

AIを使って利用規約・プライバシーポリシーの草案を作る際の注意点

近年、AIチャットツールに「利用規約の草案を作ってほしい」と依頼し、たたき台を作成する人も増えています。AIが生成した文書は、一般的な内容としては、一定の水準を満たしていることが多いですが、自分のサービスの実態と、AIが想定している一般的なサービスの内容が、正確に一致しているかを、必ず確認する必要があります。

AIに依頼する際は、自分のサービスの具体的な内容(取得する情報、決済の有無、対象となる利用者など)を、できるだけ詳しく伝えることで、より実態に近い草案を得やすくなります。ただし、AIが生成した文書をそのまま公開するのではなく、この記事で紹介した最低ラインの内容が含まれているかを、自分の目で確認するステップを、必ず挟むことをおすすめします。

利用規約・プライバシーポリシーの作成に、どれくらいの時間をかけるべきか

初めて利用規約・プライバシーポリシーを作成する場合、どれくらいの時間を確保すればよいか、見通しが立たないことがあります。目安として、信頼できるテンプレートを見つけ、自分のサービスの実態に合わせて修正する作業は、規模の小さいサービスであれば、数時間から半日程度で、最初の草案を完成させられることが多くあります。

ただし、この時間には、サービスの実態を整理する作業(取得する情報の項目や、外部サービスとの連携の有無を洗い出す作業)は含まれていません。この整理の作業自体に、意外と時間がかかることがあるため、文書作成のための時間だけでなく、事前の整理の時間も、あわせて確保しておくことをおすすめします。

複業として、限られた時間の中で準備を進める場合、この作業を、一度にまとめて終わらせようとせず、「今日は取得する情報の整理だけをする」「次の作業日にテンプレートを修正する」というように、小さな単位に分けて進めることも、現実的な進め方です。

利用規約・プライバシーポリシー以外に、あわせて用意しておきたいページ

利用規約・プライバシーポリシーとあわせて、サービスの運営者情報(会社名または個人名、連絡先など)を明記したページも、用意しておくことをおすすめします。有料サービスの場合、この運営者情報は、特定商取引法に基づく表示として、別途詳しい記載が必要になりますが、無料サービスであっても、運営者が誰であるかを示すことは、利用者の信頼を得る上で有効です。

また、よくある質問(FAQ)のページを用意しておくことで、利用規約やプライバシーポリシーの内容について、利用者からの個別の問い合わせを、ある程度未然に減らすことができます。特に、退会の手続きや、個人情報の削除方法など、利用者が気にしやすい項目については、FAQの中でも分かりやすく案内しておくことをおすすめします。

家族や友人にサービスを見せる前に、確認しておきたいこと

複業や個人開発の初期段階では、まず家族や友人に、試作段階のサービスを見てもらうことがあります。このとき、まだ利用規約やプライバシーポリシーが整っていない場合、「これは、まだ検証中の試作であり、正式な利用規約は今後整備する予定です」ということを、口頭やメッセージで伝えておくことをおすすめします。

身近な人への試用であっても、個人情報を取得する機能(会員登録フォームなど)が既に動いている場合は、簡易的なプライバシーポリシーを、この段階から用意しておくほうが安全です。「身近な人だから大丈夫」という判断は、後から利用者が増えた際に、対応が後手に回る原因になることがあります。

よくある失敗パターンと、その避け方

失敗パターン1:他社の利用規約をそのままコピーしてしまう

他のサービスの利用規約をそのまま流用してしまうと、サービス名や運営者情報が間違ったまま残ってしまったり、自分のサービスには存在しない機能についての条項が混在してしまったりすることがあります。参考にすること自体は問題ありませんが、必ず全文を読み直し、自分のサービスの実態に合っているかを、一文ずつ確認することをおすすめします。

失敗パターン2:作成した後、一度も見直さない

サービスの機能が増えたり、取得する情報の種類が変わったりしても、利用規約・プライバシーポリシーを更新しないまま放置してしまうケースがあります。この記事で紹介したように、機能を追加・変更するたびに、これらの文書も見直す習慣をつけることをおすすめします。半年に一度など、定期的な見直しのタイミングを、あらかじめ決めておくことも有効です。

失敗パターン3:文書はあるが、誰も見ていない場所に置いてしまう

利用規約・プライバシーポリシーを作成したものの、サイトの奥深いページに置いてしまい、利用者がほとんど気づけない状態になっていることがあります。トップページのフッターや、会員登録画面など、利用者が自然に目にする場所に、分かりやすくリンクを設置することをおすすめします。

無料公開と有料化、どちらの段階でも見直しておきたいこと

多くの個人・複業サービスは、最初は無料で公開し、利用者の反応を見ながら有料化を検討するという順序で進められます。無料公開の段階で用意していた利用規約・プライバシーポリシーは、有料化のタイミングで、必ず見直す必要があります。

有料化する際は、料金の記載、決済方法、返金の有無や条件、特定商取引法に基づく表示など、無料段階では不要だった項目が新たに必要になります。「無料の頃に作った規約のままで、いつの間にか有料化していた」という状態にならないよう、有料化を検討する段階で、あらかじめ必要な追記事項をリストアップしておくことをおすすめします。

まとめ:完璧を目指さず、段階的に整えていく姿勢が大切です

利用規約・プライバシーポリシーは、一度作れば終わりというものではなく、サービスの成長にあわせて、継続的に見直していくべき文書です。個人・複業でのサービス立ち上げの初期段階では、完璧な文書を用意することよりも、まずこの記事で紹介した最低ラインを押さえ、サービスを実際に公開して、利用者からの反応を得ることを優先することをおすすめします。

その後、サービスが成長し、扱う情報や機能が増えていく段階に応じて、文書の内容を少しずつ整備していく、という段階的なアプローチが、個人・複業での立ち上げにおいては、最も無理のない進め方です。

スマホアプリとして配信する予定がある場合は、規約整備とあわせてスマホアプリを配信する場合に確認すべきストア審査の基本も公開前に目を通しておくと安心です。

この記事の次に読みたい記事

利用規約・プライバシーポリシーの最低ラインを理解したら、次はそれぞれの詳細な条項についても確認しておきましょう。あわせて次の記事も参考にしてください。

  • 利用規約に必ず入れておきたい条項(免責・禁止事項・退会)
  • 個人開発サービスのプライバシーポリシー、何をどこまで書くか
  • 有料サービスに必要な特定商取引法の表示、何を書けばいいか