バイブコーディングでAIに指示を出すとき、「何をどう伝えればいいのか分からない」という悩みは、始めたばかりの人がほぼ必ず抱える悩みです。日本語で自由に話しかければいいとはいえ、伝え方によって結果の質が大きく変わることも事実です。

同じ「ツールを作ってほしい」という要望でも、伝え方次第でAIが返してくる結果は驚くほど変わります。あるプロンプトでは1回で意図通りのものが返ってくるのに、別のプロンプトでは何度もやり直しになる。その差は、AIの性能の差ではなく、指示の組み立て方の差であることが多いのです。

この記事では、アプリやツールを作る際のプロンプト(AIへの指示文)の基本的な型を紹介します。難しいテクニックではなく、誰でもすぐに実践できる、伝え方の型に絞って解説します。プログラミングの知識は前提にしません。日本語で自然に文章を書ける人であれば、そのまま使える型です。

この記事で分かること

プロンプトの書き方には、いくつかの基本的な型があります。この型を知っているだけで、AIが返す結果の精度が大きく変わります。この記事では、最初に覚えておきたい型を実例とともに紹介します。

結論を先に示すと、意識したい型は次の3つです。

  • 「誰が」「何を」「どうする」の3点を明確にする型
  • 「今の状態」と「望む結果」を対比させる型
  • 「例外」や「こうはしたくない」を先に伝える型

この3つの型は、それぞれ単独で使うこともできますが、組み合わせることでさらに効果を発揮します。まずは1つずつ、なぜその型が有効なのか、どう使うのかを見ていきましょう。

アプリ作りのプロンプト基本3型のカード比較図。型1(誰が何をどうする)、型2(今の状態と望む結果の対比)、型3(例外を先に伝える)をそれぞれ曖昧な指示とAI改善後の指示例で並べ、新規作成は型1+型3、修正依頼は型2+型3の組み合わせが基本と示す。

型1:「誰が」「何を」「どうする」を明確にする

最も基本的な型は、「誰が」「何を」「どうする」という3点をはっきりさせて伝えることです。

例えば、「顧客管理ツールを作って」という指示だけでは、AIはどんな画面構成にすればいいか、どんな情報を管理したいのか、判断する材料が不足しています。これを「顧客の名前と連絡先を入力すると、一覧に追加され、後から検索できるツールを作って」というように具体化すると、AIが理解できる情報量が増え、より意図に近い結果が返ってきやすくなります。

指示を出す前に、次の3つの空欄を自分の中で埋めてみると、この型を実践しやすくなります。

  • 誰が使うか(自分だけ、複数のユーザーなど)
  • 何を入力・登録するか
  • その情報をどう使う・表示するか

この3つの空欄は、実際に頭の中で言語化してみると、思っていたよりも曖昧だったことに気づくことがあります。「顧客管理ツール」という言葉一つの中に、「誰が使うのか」「どんな情報を扱うのか」「その情報でどんな操作をしたいのか」という複数の要素が詰め込まれているためです。AIに伝える前に、まず自分自身がこの3点を整理できているかを確認する作業自体が、実は最も重要なステップだったりします。

具体例で比較してみる

同じ「予約管理ツールを作りたい」という要望でも、伝え方によって結果は大きく変わります。

曖昧な指示の例 「予約管理ツールを作ってください」

この指示では、AIは「予約」という言葉から想像できる一般的な機能(日時の入力、氏名の入力、一覧表示など)を、独自の判断で実装します。もし自分が想定していたのが「1日に1人しか予約を受けられない小さなサロン」だったとしても、AIはその制約を知らないため、複数人が同時刻に予約できる仕様で作ってしまうかもしれません。

型1を使った指示の例 「自分(サロンの運営者1名)が使う予約管理ツールを作ってください。お客様の名前と希望日時を入力すると、一覧に追加され、同じ日時に別の予約が入っていないかを確認できるようにしてください」

この指示には、「誰が(サロン運営者1名)」「何を(お客様の名前と希望日時)」「どうする(一覧に追加し、重複を確認する)」という3点が明確に含まれています。曖昧な指示に比べて、AIが実装すべき範囲がはっきりしているため、意図に近い結果が返ってきやすくなります。

型2:「今の状態」と「望む結果」を対比させる

2つ目の型は、修正を依頼するときに特に効果的です。「〇〇が正しく動きません」だけでは、AIはどこがどう間違っているのかを推測するしかありません。

代わりに、「今は△△という状態になっているが、本来は□□という結果になってほしい」というように、現状と望む結果を対比させて伝えると、AIは差分を正確に把握しやすくなります。

例えば、「ボタンを押しても何も起きません」ではなく、「ボタンを押すと画面が一瞬白くなって、その後何も表示されない状態です。本来は入力した内容が下の一覧に追加される想定でした」というように伝えると、AIが的確な仮説を立てやすくなります。

型2「今の状態と望む結果を対比させる」の構造図。左に観察した事実としての今の状態、右に期待していた望む結果を配置し、中央でAIがこの差分を埋めると説明。下部に「動きません」だけの曖昧な伝え方と対比の伝え方を比較し、対比の方が的確な仮説につながることを示す。

なぜ「対比」が効くのか

AIにとって、修正作業とは「今の状態」から「望む結果」への差分を埋める作業です。差分が分からなければ、AIは何を直せばいいのか判断できません。「動きません」という言葉だけでは、この差分情報がゼロに近い状態でAIに投げていることになります。

逆に、対比の形で伝えると、AIは次のような推論ができるようになります。

  • 「画面が一瞬白くなる」という情報から、画面の再読み込みや遷移が起きている可能性を推測できる
  • 「その後何も表示されない」という情報から、データの保存や表示の処理でエラーが起きている可能性を推測できる
  • 「入力した内容が一覧に追加される想定だった」という情報から、正しい動作の基準を把握できる

この3つの情報がセットになっているだけで、AIが確認すべき箇所の範囲がぐっと狭まります。結果として、的外れな修正案が減り、やり取りの回数も少なくなります。

「今の状態」を伝えるときのコツ

今の状態を伝えるときは、自分が「見たもの」をそのまま言葉にすることを心がけてください。「バグっている」「変になっている」といった評価的な言葉ではなく、「何が表示されて、何が表示されなかったか」「エラーメッセージが出たかどうか」「画面のどの部分がどう見えたか」を、観察した順番のまま伝えると精度が上がります。

型3:「例外」や「こうはしたくない」を先に伝える

3つ目の型は、望まない結果を事前に伝える型です。AIは指示された内容から結果を作りますが、「言われていないこと」については、AI自身の判断で補ってしまうことがあります。この判断が、自分の意図とずれることがあります。

例えば、「顧客管理ツールを作って」と伝えると、AIは独自の判断で、削除機能や編集機能まで含めて実装してしまうことがあります。まだそこまでは必要ない場合は、「まずは追加と一覧表示だけでよく、削除・編集機能は今は含めないでください」というように、含めたくない範囲を先に伝えておくと、意図しない機能が増えることを防げます。

「先に」伝えることが重要な理由

この型のポイントは、「除外したいこと」を後から伝えるのではなく、最初の指示の中に含めておくことです。一度AIが機能を実装してしまった後に「その機能は要らなかった」と伝えると、AIはその機能を取り除く作業を行う必要があり、余計な手間と、取り除く際に他の部分に影響が出るリスクが生まれます。

最初から「まずはこの範囲だけ」と伝えておけば、AIは最初からその範囲に絞って実装するため、余計なやり直しが発生しません。作ってから削るよりも、最初から絞って作るほうが、結果的に早く、そして安定した仕上がりになります。

「こうはしたくない」を伝えるときの具体例

この型は、機能面だけでなく、実装の方向性そのものにも使えます。例えば「入力フォームを作ってください。ただし、入力途中の内容を自動保存する機能は今回は不要です」というように、AIが「親切心」で追加しがちな機能をあらかじめ除外しておくことができます。

AIは基本的に、指示された内容を実現するだけでなく、「これも一緒にあったほうが便利だろう」という判断で、周辺の機能を積極的に補おうとする傾向があります。この傾向自体は多くの場面で助けになりますが、まだ検討段階のシンプルな試作を作りたいときには、逆に手間を増やす要因になります。「今回はここまで」という線引きを最初に共有しておくことは、AIの善意による機能過多を防ぐための、地味ながら効果の大きい工夫です。

この3つの型を組み合わせた指示の例

3つの型を組み合わせると、次のような指示文になります。

「毎日の売上を入力すると、月ごとの合計が自動で計算されるツールを作ってください。まずは入力と合計表示だけのシンプルな機能で構いません。グラフ表示や複数店舗の管理などは、今の段階では含めないでください。」

この指示文には、「誰が(自分)」「何を(毎日の売上)」「どうする(入力すると合計が計算される)」という型1の要素と、「含めたくない範囲(グラフ表示、複数店舗管理)」という型3の要素が含まれています。最初からこのレベルの指示を書けなくても構いません。まずは型1を意識するだけでも、指示の質は大きく改善します。

型2は主に修正依頼の場面で使う型なので、最初の作成指示には含まれていません。実際の使い分けとしては、「新しく作るときは型1と型3」「修正を依頼するときは型2と型3」という組み合わせを意識すると、場面に応じた使い分けがしやすくなります。

場面別のプロンプトの型

ここまでの3つの基本の型を踏まえて、実際の作業でよく出てくる場面ごとに、使いやすい伝え方の型を紹介します。

新しい機能を追加してほしいとき

「〇〇の機能を追加してください。今ある△△の機能はそのまま残してください」というように、追加してほしい機能と、変更してほしくない既存の機能をセットで伝える型です。追加の指示だけを出すと、AIが関連する既存部分まで書き換えてしまうことがあるため、「残してほしい部分」を明示することが重要です。

例えば、「一覧に検索機能を追加してください。今ある並び替えの機能はそのまま残してください」というように伝えると、AIは検索機能の追加に集中しつつ、並び替え機能を壊さないよう注意を払いながら作業を進めます。何も言わずに「検索機能を追加して」だけ伝えると、AIが一覧表示の仕組み自体を作り直し、その過程で並び替え機能が意図せず消えてしまう、ということも起こり得ます。

見た目を調整してほしいとき

見た目の調整は、言葉だけで伝えるのが難しい領域です。「もっとシンプルに」「もっとおしゃれに」といった表現だけでは、AIが具体的にどう変えればいいかを判断しにくくなります。可能であれば、「〇〇のようなアプリの見た目に近づけたい」というように、具体的な参考イメージを示すか、「文字を大きくして、余白を増やしてください」というように、変更したい要素を具体的な言葉に分解して伝えることをおすすめします。

見た目の調整で特に有効なのは、「変えたい部分」と「変えたくない部分」を両方伝える方法です。「ボタンの色をもう少し落ち着いた色にしてください。配置や大きさは今のままで構いません」というように伝えると、色以外の部分が意図せず変わってしまうことを防げます。

エラーの原因を調べてほしいとき

エラーが発生した際は、「エラーメッセージの内容」「エラーが起きた直前に何をしたか」「期待していた動作」の3点をセットで伝える型が有効です。この3点が揃っていると、AIは原因を絞り込みやすくなります。逆に、「動きません」という一言だけでは、AIは何を確認すればいいか分からず、的外れな提案を返してしまうことがあります。

エラーメッセージが表示されている場合は、要約せずにそのままの文言をコピーして伝えることも重要です。「なんとなくエラーが出た」という説明よりも、実際の文言をそのまま渡すほうが、AIは原因を特定しやすくなります。エラーメッセージが表示されていない場合は、「何も表示されなかった」ということ自体が重要な情報になるので、その旨をそのまま伝えてください。

複数の選択肢を提示してほしいとき

「この機能の作り方について、2〜3パターンの選択肢とそれぞれの特徴を教えてください」という型は、まだ方向性が固まっていない段階で有効です。AIにいきなり1つの実装を頼むのではなく、まず選択肢を整理してもらい、その中から自分の要望に近いものを選ぶ、という進め方をすると、後からの手戻りを減らせます。

この型は、特に「機能は決まっているが、実現方法に迷いがある」というタイミングで役立ちます。例えば「予約の重複を防ぐ仕組みを作りたいが、どんな方法があるか」というように尋ねると、AIは複数のアプローチとその長所・短所を提示してくれます。そこから自分の状況に合ったものを選び、その上で具体的な実装を依頼すると、一度で作り直しになるリスクを減らせます。

プロンプトを書くときによくある失敗

失敗1:一度に全部を頼んでしまう

最初から複数の機能をまとめて依頼すると、AIがどの部分を優先すべきか判断しにくくなり、結果として意図と違う仕上がりになりやすくなります。1つの指示につき、1つの機能に絞ることを心がけてください。

例えば、「顧客管理、予約管理、売上集計、通知機能を全部入れたツールを作ってください」というように、複数の機能を一度に依頼すると、AIはそれぞれの機能を大まかに実装することはできても、1つ1つの完成度は下がりやすくなります。また、後から「顧客管理の部分だけ直したい」と伝えても、他の機能と絡み合った状態になっているため、修正が難しくなることもあります。

まずは1つの機能を作り、それが動くことを確認してから次の機能を追加する、という進め方のほうが、結果的に早く、安定したツールに仕上がります。

失敗2:抽象的な言葉のまま伝えてしまう

「使いやすいツールにしてください」「見やすい画面にしてください」といった、感覚的な表現だけの指示は、AIにとって解釈の余地が大きすぎます。「使いやすい」を具体的に言い換えると、どのような操作性を指しているのかを考え、その内容を伝えるようにしましょう。

例えば、「使いやすくしてください」という指示は、人によって「操作の手数が少ない」「文字が大きくて見やすい」「迷わず次に進める」など、意味する内容が大きく異なります。自分がどの意味で「使いやすい」と感じているのかを一段掘り下げて、「入力から登録まで、クリックの回数を減らしてほしい」というように具体的に言い換えると、AIが取るべき対応がはっきりします。

失敗3:修正依頼のときに、変更してほしい部分だけを伝えてしまう

修正の指示を出す際、変更してほしい部分だけを伝えると、AIがそれ以外の部分にまで意図せず手を加えてしまうことがあります。「〇〇の部分だけを直してください。他の部分は変更しないでください」というように、変更範囲を明示する一言を添えると、意図しない変更を防げます。

失敗4:過去の指示を覚えている前提で話してしまう

会話を長く続けていると、「さっき言った通りに」「前と同じ条件で」といった、過去の文脈に依存した指示を出してしまうことがあります。会話の初期であればAIも文脈を保持していますが、やり取りが長くなったり、話題が一度別の内容に移ったりすると、細かい条件が引き継がれていない場合があります。特に重要な条件(例外扱いしたい範囲や、変更してほしくない部分など)は、都度あらためて伝え直すほうが安全です。

失敗5:結果を見ずに次々と指示を積み重ねてしまう

1つ指示を出したら、実際にどう動くかを確認する前に、次の指示、さらに次の指示と積み重ねてしまうケースもよく見られる失敗です。この進め方では、途中のどこかで意図とずれた実装が入り込んでいても気づくのが遅れ、後から原因を探すのが難しくなります。1つの指示を出したら、一度動作を確認してから次に進む、という小さいサイクルを繰り返すほうが、結果的に手戻りが少なくなります。

失敗6:AIの提案をそのまま受け入れて、なぜそうなったかを確認しない

AIが実装した内容や、AIが提示した選択肢について、「よく分からないけれど、動いているからいいか」とそのまま受け入れてしまうケースもあります。特に、業務ロジックや料金計算のように、後から間違いに気づくと影響が大きい部分については、「なぜこの実装にしたのか」を一言AIに説明してもらう習慣をつけることをおすすめします。

説明を求めることで、自分の意図と違う前提でAIが実装を進めていたことに、早い段階で気づける場合があります。逆に、説明を求めずに進めてしまうと、見た目は正しく動いているように見えても、想定と違う条件で処理が行われていた、ということが後から発覚することもあります。

専門分野の業務ロジックを伝えるときの型

自分の専門知識・業務経験を反映したツールを作りたい場合、業界特有のルールや条件をAIに正確に伝える必要があります。この場合は、次のような型が有効です。

まず、専門分野の言葉をそのまま使うのではなく、その言葉が何を意味するのかを一言で補足しながら伝えることをおすすめします。例えば「〇〇(△△業界で使われる用語で、□□を意味します)の条件を満たす場合は、この計算方法を使ってください」というように、AIがその分野に詳しくない前提で説明を補うと、意図とずれた実装になるリスクを減らせます。

また、条件が複数ある場合は、1つずつ順番に伝えるほうが正確に伝わります。「AかつBの場合はCを、AでなくBの場合はDを」というように、条件を1文にまとめて伝えると、AIが条件の組み合わせを誤って解釈することがあります。次のように、条件を箇条書きにして伝えると誤解が減ります。

  • 条件1(Aである場合):処理Xを行う
  • 条件2(Aでなく、Bである場合):処理Yを行う
  • 条件3(AでもBでもない場合):処理Zを行う

具体的なイメージ:料金計算のロジックを伝える場合

例えば、ある業種の料金計算で「平日は基本料金、休日は基本料金の1.5倍、さらに深夜(22時以降)は平日休日にかかわらず2倍」という複雑なルールがあるとします。これを一文で伝えると、AIが「深夜かつ休日の場合はどうなるのか」を誤って解釈してしまう可能性があります。

このような場合は、次のように条件を分解して伝えると誤解が減ります。

  • 平日・22時より前:基本料金のまま
  • 休日・22時より前:基本料金の1.5倍
  • 22時以降(平日・休日を問わず):基本料金の2倍

このように、あり得る組み合わせを網羅する形で条件を書き出すことで、「言葉で説明したときに抜け落ちていた条件」に自分自身も気づきやすくなります。実際、条件を箇条書きにする過程で、「あれ、この組み合わせのときはどうすればいいんだっけ」と自分の中でルールが整理できていなかったことに気づくケースも少なくありません。プロンプトを書く作業は、AIに伝える作業であると同時に、自分の業務ルールを言語化し直す作業でもあるのです。

専門知識をツール化する際のより広い視点(何から手をつけるか、業法上の注意点など)については、別記事でも扱っていますので、あわせて参考にしてください。

AIとの対話を「メモ」として活用する

プロンプトを書く作業に慣れてくると、うまくいった指示の型を、自分用のメモとして残しておくと便利です。「この言い方をしたら意図通りに動いた」という指示文の型をいくつか手元に残しておくと、次に似た場面が来たときに、そのメモを参考にしながら指示を組み立てられます。

特に、修正依頼やエラー対応の場面では、同じような伝え方のパターンを繰り返し使うことが多いため、こうしたメモの蓄積が、作業のスピードを上げる助けになります。

メモの残し方は特別な形式にする必要はありません。メモ帳やノートアプリに、「うまくいった指示」「うまくいかなかった指示とその理由」を短く書き留めておくだけで十分です。慣れてきたら、場面別(新規機能追加用、修正依頼用、見た目調整用など)にメモを分けておくと、必要なときにすぐ参照できるようになります。

Q&A:プロンプトの型についてよくある疑問

Q. プロンプトは英語で書いたほうが精度が上がるのでしょうか。

日本語でも問題ありません。近年のAIは日本語の指示でも十分に高い精度で応答できます。むしろ、無理に英語に翻訳しようとすることで、自分が本当に伝えたいニュアンスが失われるリスクのほうが大きいです。この記事で紹介した3つの型は、日本語のまま使うことを前提にしています。

Q. 一度の指示にどれくらいの文章量を書けばいいのでしょうか。

長さそのものよりも、「誰が」「何を」「どうする」の3点と、必要な例外条件が含まれているかどうかが重要です。短い指示でもこの要素が揃っていれば十分機能しますし、逆に長く書いても要素が抜けていれば精度は上がりません。まずは3〜5文程度を目安に、要素が揃っているかを確認する習慣をつけるとよいでしょう。

Q. 型を使っても意図と違う結果になることがあるのですが、どうすればいいですか。

その場合は、型2(今の状態と望む結果の対比)を使って、実際に返ってきた結果と、自分が期待していた結果の違いを具体的に伝え直してください。1回で完璧な指示を出すことよりも、「結果を見て、差分を伝えて、調整する」というサイクルを短く繰り返すことのほうが、最終的な完成度に大きく影響します。この対話の繰り返し方については、次の記事でさらに詳しく扱っています。

Q. 型を意識しすぎて、指示文を書くのに時間がかかってしまいます。無理に守る必要はありますか。

すべての型を毎回完璧に守る必要はありません。この記事の型は、意図とずれた結果が返ってきたときに「なぜずれたのか」を振り返るための基準として使うのが実用的です。最初のうちは時間がかかっても構いません。同じような場面で同じ型を繰り返し使っていくうちに、指示文を考える時間そのものが自然に短くなっていきます。慣れる前から完璧を目指す必要はなく、まずは型1(誰が・何を・どうする)だけを意識するところから始めるのがおすすめです。

プロンプトの型を実践で身につけるコツ

これらの型は、知識として覚えるだけでなく、実際にAIとの対話を繰り返す中で身についていくものです。最初のうちは、指示を出す前にメモ帳などに「誰が」「何を」「どうする」を書き出してから、それを文章にまとめてAIに伝える、という手順を踏むことをおすすめします。慣れてくると、この手順を頭の中だけで組み立てられるようになります。

このとき大切なのは、一度で完璧な指示文を書こうと気負わないことです。バイブコーディングは、1回の指示で完成形を作り上げるものではなく、AIとの対話を何度も繰り返しながら少しずつ理想の形に近づけていく作業です。プロンプトの型は、その対話を効率よく進めるための道具にすぎません。型を守れているかどうかよりも、「AIが返してきた結果が、自分の意図とどう違ったか」を都度確認し、次の指示に反映していく姿勢のほうが、長い目で見ると仕上がりの質を大きく左右します。

プロンプトの型 チェックリスト

指示を出す前に、次の項目を一つずつ確認してみてください。すべてを毎回満たす必要はありませんが、意図とずれた結果が返ってきやすい場面ほど、チェックする項目を増やすと効果的です。

  • 「誰が使うか」を自分の中で言葉にできているか
  • 「何を入力・登録するか」が具体的になっているか
  • 「その情報をどう使うか」まで伝えているか(新規作成の場合)
  • 修正依頼の場合、「今の状態」を観察した事実のまま伝えているか
  • 修正依頼の場合、「望む結果」を具体的に伝えているか
  • 含めたくない機能・変更したくない部分を先に伝えているか
  • 感覚的な言葉(使いやすい、おしゃれ、シンプルなど)を、具体的な言葉に言い換えられているか
  • 一度の指示に複数の機能を詰め込みすぎていないか
  • 専門用語を使う場合、意味を一言で補足しているか
  • 条件が複数ある場合、箇条書きなど分解した形で伝えているか

このチェックリストは、慣れないうちは指示を出す前に一つずつ目を通す、というくらいの使い方で構いません。繰り返すうちに、自然とこれらの観点が指示文に反映されるようになっていきます。

この記事の次に読みたい記事

プロンプトの基本の型を身につけたら、次はAIとの対話を繰り返しながら試作を改善していく段階です。あわせて次の記事も参考にしてください。